校長ブログ
新コース立ち上げ特集㉑-サイト・トランスレーション
2022.09.10
グローバル教育
9月10日
英語を書いてある通り、左から右へ読み進めていくことをサイト・トランスレーション(sight translation)と言います。サイト(sight)は「見ること」、トランスレーション(translation)は「翻訳」のことですから、ネイティブのように、英語を英語の語順のまま前から読み、理解する「直読直解」の第一歩となるものです。
サイト・トランスレーションは、同時通訳のトレーニング方法の一つであり、リーディング・スピードだけでなく、リスニング力をあげることで一定の評価を得ています。具体的には、意味のかたまり(チャンク)ごとにスラッシュ(/)を入れ、前から音読し、訳していくというもの。
ここでいうサイト・トランスレーションが有効になるのは、自分のレベルに合ったテキストの「直読直解」の場合。スラッシュを入れるのはチャンクごとです。チャンクは句や節が目安ですが、絶対的なものではありません。従って、それぞれが試行錯誤を繰り返しながらマスターしていくことが肝要です。
とりあえず、1日10分など、時間を決めて、① チャンクごとに区切った英文の音読 ➡️ ② 音読した箇所を日本語にする練習を繰り返してほしいものです。音読は脳の処理速度と関係しているので、読むスピードが上がれば、読める英文量も多くなります。慣れてきたら、スラッシュの数を減らしながら練習を続けていくとそのうちスラッシュなしでも理解できるようになるでしょう。ただし、自分の語彙サイズをはるかに超えた難易度が高い評論文のような場合は、文型をおさえ、内容を考えるのは言うまでもありません。
サイト・トランスレーションのめざすところとしては、英語を英語のまま考える「英語脳」を育てること。しかし、外国語として英語を学ぶ者にとって、その前提となるのが語彙サイズと文法知識であることは自明ですし、それはどのような外国語学習でも共通なのです。
(注)It was A that...のようないわゆる強調構文(分裂文)の場合、「...だったのはAです」のように後ろから日本語にするのが通例になっていますが、Aの位置にある語句が強調されているのがわかれば「まさにAが...、Aは...だったからです」というように訳してもなんら問題はありません。