校長ブログ

兵庫はAI開発企業で躍進!

2022.08.26 トレンド情報
8月26日

 兵庫県は、大型放射光施設であるSPring-8など、科学技術の基盤が揃っています。

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 材料開発では、AIを活用するマテリアルズ・インフォマティクス(MI)が有名であり、タイヤメーカーを軸にゴム材料の分野などで成果が出ており、今後、中小企業にも拡大していく方向性。ふつうなら4年はかかる解析作業が2週間に短縮できたとか。進歩の度合いは日進月歩です。

 例を挙げると、住友ゴムはトヨタ自動車と連携し、ゴム材料を解析するのに通常の100分の1以下に短縮することに成功。タイヤに使うゴムは、天然ゴムはじめ100種類以上の材料を混ぜ合わせています。グリップ性能と燃費性能を両立させるには、添加剤の種類や量、混ぜ方を工夫する必要がありますが、複雑な構造のため、開発が困難であり、研究者の経験値に頼らざる得なかったそうです。

 同社は、SPring-8を使い、ゴムの内部を観察、実験で得たデータをAIで解析しています。「京」や「富岳」といったスーパーコンピューターをシュミレーションに使い、作業時間を大幅に短縮することに成功しました。今後、AIを石油使用量を抑えるタイヤの開発にも応用したいという意欲もあるとのこと、先が楽しみです。目標は、製品におけるバイオマスとリサイクルの比率を2050年には100%にすることにされています。

 MIは、マサチューセッツ工科大学と韓国サムスンが導入し、高性能な全固体電池の新材料を発見、研究計画が進んでいます。TOYO TIREも2年前からゴム材料の配合予測にAIを活用し、コベルコ科研もAIによる素材の寿命や劣化を予測するサービスを開始。手延素麺協同組合は、AIを活用して手延べそうめんの開発を効率化し、需要を拡げようとしています。具体的には、高山裕貴氏(兵庫県立大助教)と連携、SPring-8で手延べそうめんの内部を可視化し、スーパーコンピューターで解析することによって、手延べそうめん特有の食感に維持するだけでなく、食感を保った冷凍食品を開発する予定だとか...

 兵庫県は、ものづくり産業に定評があり、製造業の割合が総生産のうち、24%と全国平均を上回っています。県は、世界最高級の実験・計算設備の活用を促す目的で、神戸市と連携し、兵庫県マテリアルズ・インフォマティクス研究会を設立し、人材の育成を進めています。さらなる発展に期待したいものです。