校長ブログ
SNSの力
2022.07.06
トレンド情報
7月6日
情報通信研究機構は、SNSがIQ(知能指数)やメンタルの状態、生活習慣を見抜く実験に成功したという結果をアメリカの科学誌に発表しています。
SNSは誰もがつぶやくことができ、ある意味、社会参加のインフラになっているとも言えます。コミュニケーションは短い文ですが、受け手がどんな人か確かめたいという思いが今回の研究につながったとのこと。SNSのつぶやきから人間の内面を読み取ることができれば、脳の中に目が届くことになり、犯罪のネットワークを防止することができます。また、使い方次第では見守りの役割を果たすなど、期待される面も多々あります。しかし、一方で、140字の投稿だけで個人情報がわかってしまうため、プライバシー保護の観点で問題が残るのもまた事実。AIとプライバシーの問題について、現時点では規制がなく、SNSを採用などの人事に使う行為は法的に問題ないとしつつも、AIが偏見を身につける危険性があり、将来、なんらかの規制がかかる可能性もあると指摘する専門家もいます。因みに、情通機構はAIプログラムの公開を見送っています。
情通機構の実験では、AIがツイッターの情報から人間の内面を表す特性を推定、IQなどの知能や性格に加えて、統合失調症やうつ病のような精神状態、飲酒や喫煙の生活習慣、人生の満足度を読み取ったそうです。例えば、「いいね」が多いと「漢字の読み書きの能力が高い」、つぶやきで文字数のばらつきが大きいほど「統合失調症の傾向」、「飲む」「歩く」「時刻表」などの単語を多く使う人は「飲酒の習慣」等々...。しかし、AIの開発を進めていく中で、情通機構研究マネージャーである春野雅彦氏は、厳密に個性を算出するのは難しいと述べられています。
同機構は、現在、ストレスの分析に注力しているとのこと。海外では2018年、うつ病の兆候をフェイスブックに並ぶ単語から3カ月前につかめるとする結果を発表されるなど、研究は日進月歩。AIが管理する社会が到来してもその "光と影" を検証しつつ、生活を豊かにすることが模索され続けられるでしょう。
科学技術の進歩により世界の経済や産業が大きく変容しようとしています。しかし、一長一短があるのは紛れもない事実であり、開発者、企業、個人の責任は重大です。最も大切なことは、本当に人間にとって役立つ存在かどうか、公平性を担保できるかどうか、そして、説明責任を果たせるかどうかということ。開発者や企業はAIの開発目的やその情報をどう活用するか明確にし、個人はどのような使い方をすれば情報を託せるのかを自身で考える必要があるのです。