校長ブログ

海外の学習塾

2022.07.27 グローバル教育
7月27日

 中国では小中学生を対象とする学習塾に対し、英語、国語、算数などの教科指導に対する規制を厳しくしているようです。結果、教育産業の収益が激減、日本の学習塾と組んで規制のない課外科目を通じて活路を見い出す取り組みが進められています。   

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 課外科目には芸術、スポーツ、料理、掃除などがあり、今後、拡充の方向とか。コロナ禍によってオンライン塾も登場しています。授業料は運営企業や科目によって異なるようです。教育省によれば、北京や上海など主要10都市におけるサッカーやピアノ、ダンスなどの授業料は1時間平均で約80240元とのこと。日本円にすると約15004500円にあたります。

 中国政府が2021年に打ち出した教育規制は、義務教育にあたる小中学生を教える学習塾を対象にしており、休日や夏・冬の休暇中に国語、英語、数学、歴史などの授業禁止、上場禁止、新規の開業許可は凍結、既存の塾には非営利団体への転換を義務づけるというものです。

 背景にあるのは所得向上に伴う受験ブームの到来。当然、共働きの世帯が増え、通塾率が上がります。教育費は高騰、少子化の原因と見なされるようになってきます。かつて日本も同じような歴史を歩んできました。中国政府はこの状況に歯止めをかけるため、規制に乗り出したというわけです。教育関連上場企業への影響も大きく、11社中10社が赤字に転落、大規模なリストラと教室の閉鎖を余儀なくされています。 

 一方、政府が規制の対象外としたのが、スポーツや芸術・科学技術といった上記の科目です。政府は生徒の総合的な学力向上を推進するため、改訂する義務教育の課程を9月からスタートさせます。日本でも学習指導要領が改定され、「主体的・対話的で深い学び」を通じた探究学習など、総合学力を養う重要性が求められていますが、類似した傾向をもっています。新設される科目には料理や掃除などの「労働」と「情報技術」があり、学習塾のビジネスチャンスになる可能性があるとのこと。ある調査によれば、2023年の市場は2021年に比べれば約40%伸びる見通しのようです。