校長ブログ
水害リスク
2022.07.26
トレンド情報
7月26日
地球温暖化によって、海面が1メートル上昇すると、東京圏は海面より低いゼロメートル地帯が約3倍となり、影響を受ける住民は157万人だそうです。これは日本だけではありません。現在、世界の主要都市でも洪水や高潮といった水害リスクにさらされているのです。
国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)によれば、今後、化石燃料に依存し、温暖化ガスの排出量が多い状況が続くと、海面の上昇幅は2100年までに約1メートル、2300年には2~7メートル程度になると見込まれています。
ゼロメートル地帯が約半分を占める東京都葛飾区では、災害を想定して対策を講じているものの、実態としては、約46万人いる住民を避難させるのは困難であり、高い建物への垂直避難を考えています。また、浸水でも水没しないと考えられている約200カ所の施設を「洪水緊急避難建物」に指定したり、商業施設に避難受け入れ協力を求めたりしています。さらに、浸水しても水が引くまでの間、生活が送れるような避難先の拡大もめざしています。
スペインの気候変動バスク・センターなどでは沿岸部にある世界の主要136都市の海面上昇に伴う経済的損害を試算していますが、温暖化ガスの排出削減がない場合、2100年の時点では全都市の損害額は8兆3583億ドル(1000兆円)と見込んでいます。
海外でも対策が進められています。ロンドンでは可動式堤防である「テムズバリアー」が高潮被害を防いでいます。しかし、今世紀末までには98センチの海面上昇が想定されており、バリアー新設やかさ上げを予定しているとか。上海では、地下貯水槽を設けた海綿(スポンジ)公園を整備し、2035年までに市街地の8割をスポンジ都市化、雨水の8割を吸収する目標を掲げています。インドネシアでは、2050年、ジャカルタで25~50センチの海面上昇があると指摘されており、ボルネオ島東部に新首都を建設する法案が可決されています。リスク管理の重要性を教えてくれる事例です。