校長ブログ

新コース立ち上げ特集⑭ークローズ・テスト

2022.07.09 グローバル教育
7月9日

 文章の一部の単語を(   )に置き換え、そこに適する語を入れ、どれだけ復元できたかを測定するものをクローズ・テストと言います。これは、元々、米国のジャーナリストであるWilliam Taylorによって、Readability(リーダビリティ➡読みやすさ)を測定するために開発され、新聞読者層に適した文章を作成するために使われました。その後、研究が進められ、英語を外国語とする学習者にも有効であると考えられています。

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 ふつう、学習者の到達度レベルに合わせた難易度をもつ約350語から成る文章を選びますが、リーダビリティを測定する場合には50くらいの(   )が作れる長さが必要と言われています。しかし、到達度によってはこの限りではありません。

 外国語としてのテストであれば、710語間隔が適当ですが、機械的に(   )を作ればよいというものではなく、到達度によって柔軟な対応が求められます。文脈に対するヒントを与えるために、第1文と最後の文、状況によっては2~3文はそのままにしておく方がよいとされています。

 種類で言えば、このような空所補充の形式もあれば、いくつかの選択肢を用意しておく多岐選択の形式もあります。

 空所補充形式の採点は、予め基準を決めた上で、他のテストとの整合を図りつつ、処理します。方法としては、exact-word method、つまり、(   )とした語と同じ語のみを正解とするものが一般的です。答が一つなので、ネイティブ・スピーカーのチェックがなくても採点することができ、信頼性の高いものと考えられています。

 もう一つが、acceptable-word method、つまり、(   )とした語と同じ語でなくてもコンテキストから正しく意味を伝えるものであれば正解とするもの。この場合、ネイティブ・スピーカーと連携して想定される答を事前に検討しておかなければなりません。多岐選択形式であれば、コンピュータによる採点が可能になります。共に、EdTech 教材に活かされています。

 クローズ・テストについては、英語を外国語として学習している者にとって、熟達度テストとして、妥当性、信頼性、実用性が高く、採点が容易であるため、高評価を得ています。しかし、何を測定しているかいまだ明らかにされていないという疑問点や限界も指摘されています。本校では、テスト理論におけるメリットとデメリットを十分に研究した上で、生徒個々の真の英語力育成に邁進したく思います。