校長ブログ

空飛ぶ車の原動力

2022.06.08 トレンド情報
6月8日

 2025年、「未来社会を感じてもらう」をテーマに開催される国際博覧会に向けて、空飛ぶクルマの実用化が進められています。大阪府はドローンを飛ばし、安全な飛行環境を実現するための実験を本格化、大阪市は先端技術で地域活性化をめざす「スーパーシティ」構想に内定するなど、空飛ぶクルマの利用が現実のものとなってきました。

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 現在、空飛ぶクルマの動力源の一つとなる軽量の空気電池の開発が進んでいます。軽さはリチウムイオン電池の5分の1。世界では、中国や韓国で開発競争が加熱しているとか。

 日本では交通渋滞が年に10兆円以上の損失を招くと試算されており、その意味ではかなりの時間の無駄使いとなっています。WHO(世界保健機関)によれば、世界では1年間で約130万人が交通事故で亡くなっているとのこと。そこで最適解の一つとして考えられるのが空の活用というわけです。そのためには車を宙に浮かせるだけの軽い蓄電池が不可欠となります。

 専門家によれば、車が約1時間飛ぶには、1キログラムあたり450ワット時以上の容量の電池が必要であり、そこで浮上するのが空気電池。これは正極の代わりに空気から取り込んだ酸素を使い、リチウム金属でできた電極と組み合わせるそうです。正極がなくなったとみなせれば、本体の多くをリチウム金属が占めることになります。軽いうえに、リチウムが多くなるわけですから蓄電容量を増やせるという理屈です。

 空気中の酸素を使う空気電池の登場は、いわば太陽の光で光合成をする微生物が地球に大量の酸素をもたらしたのと同じくらいの変化と言えます。歴史をひもとけば、人は18世紀の産業革命以降、酸素を駆使して、大量の石炭や石油、天然ガスを燃やし、豊かな生活を築いてきましたが、この度の発想は、燃やさないために酸素を電池に使うといったもの。克服しなければならない課題はあるものの、空気電池に対する期待値は大です。「過去の常識が未来の非常識」になる事例です。