校長ブログ
留学生の動向
2022.05.25
グローバル教育
5月25日
コロナ禍の水際対策として、外国人の新規入国制限を段階的に緩和する方向が打ち出されました。しかし、日本の留学生受け入れについては出遅れた感があります。在留資格を認定されたにもかかわらず、来日できない外国人留学生は約15万2千人。長期的な見通しが立たなければ留学生の募集は難しくなります。
世界を見渡せば、留学生の交流はすでに戻りつつあります。英国は2030年までに留学生数を60万人にする国際教育戦略を2年で達成しています。ドイツでは大学に在籍する留学生が33万人と大幅増。韓国は9万人近い新規入国の留学生を受け入れています。外国人の入国を原則禁止していたオーストラリアは方針転換、12月から今年1月末までに5万6千人の留学生が入国したそうです。
留学生の受け入れをビジネス化した英語圏と異なり、日本はコロナ前まで留学生教育に投資し、政府や大学、日本語学校の努力と工夫で多くの国々から多様な留学生を引き受けてきました。日本の留学生支援や交流活動は海外でも評価され、産官学が連携した就職支援は卒業生の約4割が国内就職を達成しました。
コロナ禍は、2年に及ぶ入国制限を加え、国内の大学では日本人学生が留学生と学んだり、寮で共同生活する機会がなくなりました。2021年の入国は約1万1千人で2019年と比べると9割減になっています。受け入れ体制の整備が急務です。
現在、先進国では少子高齢化が進み、留学生を高度外国人材と位置づけ、獲得をめざしています。学生も卒業後のキャリアと定住を見据えて、留学先を選ぶ傾向が強くなっています。帰国後、留学した国との関係を持ち続け、技術革新だけでなく、文化交流にも貢献しているケースも多いので、将来、日本との架け橋として支援していくことが求められます。
日本について言えば、いまだに残る「鎖国」のイメージを払拭する必要があります。そのためには、With/After コロナ時代と言われる中、ワクチン接種など、段階に応じた対策を行いながら、留学生や海外の研究者を積極的に受け入れる土壌をつくり、相互交流を深めることは言うまでもありません。