校長ブログ

日本語の授業

2022.05.06 トレンド情報
5月6日

 2023年度から全国の高校で日本語の授業を単位として認定しやすくなり、小中高で外国出身者に日本語を教える制度が整うようです。制度設計としては前進ですが、実態としては、教員不足などで、小中の対象者の約半数が日本語授業を受けられていないだけでなく、外国出身者に日本語を教えた経験のある高校教員は極めて少ないという現実もあり、研修や外部の専門家との連携が求められています。

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 文科省によると、小中で日本語の授業を受けているのは指導が必要な約46千人のうち約24千人。日本語指導が必要な児童や生徒に対し、授業を行っていない理由は担当する教員がいないというのが最も多かったようです。同省は、2026年度までに、日本語指導が必要な小中学生18人につき1人の割合で教員を配置する計画を進めていますが、高校については都道府県の判断に委ねるとのこと。不安視する声もあります。 

 

 東京都では、フィリピン出身の生徒が「部活動」として、言語教育を専攻する大学生とオンラインで結んで日本語を学んでいる学校もあるとか。素晴らしいことです。そのような状況の中、日本語の授業が単位として認定されれば、学習する側のモティベーションも高まり、学習習慣が身につくはずです。

 日本語が母語ではない生徒にとって学習の継続や進学・就職は容易ではありません。高校中退率は17年度調査で9.6%と、公立高平均の1.3%を大きく上回っています。現在、大学や専門学校などへの進学率は42.2%で、公立高平均(71.1%)より大幅に低くなっています。また、非正規職への就職率は40%で、公立高の全卒業生の平均(4.3%)の9倍にも上ります。

 国立教育政策研究所によると、米国やカナダ、オーストラリアなどには外国出身生徒を対象にした英語を授業で教えたり、専門の施設で集中的に指導したりする仕組みがあるようです。日本でも指導者の確保や研修を進めるとともに、日本語教育の研究者や外国出身者を対象として学習支援しているNPOなどとの協力が不可欠となることは言うまでもありません。