校長ブログ
日本語AI
2022.05.04
トレンド情報
5月4日
AIの進化は日進月歩。東京大学発スタートアップであるイライザ(ELYZA)は、キーワードから電子メールを数秒で自動生成する技術を開発したそうです。ひらがな、カタカナ、漢字が交じり、語彙数が多い日本語は、同音異義語や敬語などの扱いも複雑であり、主語や目的語の省略も珍しくありません。その意味で、日本語AIの開発はハードルが高いとされてきましたが、今回の朗報により、仕事の効率化と生産性向上に貢献することが期待されます。
イライザが開発したAIの作業は単純であり、キーワードを数個入力して「執筆」を指示すれば、数秒で自動生成するとのこと。仕事で大量のメールを使う人にとってはこの上なく重宝されるはずです。キーワードを基にAIが言葉を並べ、状況に応じた文を作り、加筆・修正できれば、ビジネス用のメールの作成等に応用できるかもしれないことは言うまでもありません。
イライザは、AI研究のエキスパートである松尾豊氏(東京大学教授)によって開発された自然言語処理を強みとしています。文章執筆AIであるイライザ・ペンシル(ELYZA Pencil)というウェブサイトは一般公開されており、メール、ニュース記事、職務経歴書の3種類を扱い、数個のキーワードだけで約6秒で文章を生成し、流暢さという点でもほぼ人並みというから驚きです。
また、「大規模言語モデル」というAIは急速な進化を遂げており、2020年、米国で「GPT-3」と呼ばれるAIが登場してから世界で開発が活発化、その波が日本にも到来し、実用化に動き出しています。
文章執筆AIであるイライザ・ペンシルは特定の文書データを学習させれば精度向上が期待でき、人間なら約5分かかる平均900字程度の記事の要約を5秒以下で実行できるとのこと。長文の自動翻訳はメールや広告文、契約書などの作成も可能にし、販路を開くことは自明です。
日本語AIで、文章を作文したり、要約したりする「ハイパークローバ」(HyperCLOVA、LINE、東京)という大規模言語モデルの開発も注目を集めています。これは高性能のスーパーコンピューターであり、新聞の縮刷版2,700年分に相当する膨大な文書データを学習させて実用化をめざしているそうです。また、言葉で指示を与えるとAIがその意味を「理解」して画像を作り出す技術の研究も進んでいるとのこと。目が離せません。