校長ブログ
外国籍の生徒たちの高校進学
2022.04.28
グローバル教育
4月28日
来日した外国藉の児童・生徒への教育の機会均等が求められています。
高橋清樹氏(多文化共生教育ネットワークかながわ事務局長)は、小中学校での基礎学力定着、高校進学、高校での学習定着、社会参加・自立という「4つの壁」を指摘されています。その意味では、小中からの一貫したソーシャル・サポートが不可欠ということになります。
石塚達郎氏(日立財団理事長)は、特に高校進学について、公民連携を提案されています。学術・科学技術の振興、人づくり、多文化共生社会の構築をミッションとする同財団では、SDGsをはじめ、包摂の心を持つ社会づくりを推進し、日本語が不自由で就学・進学に困難を抱えている外国籍の子弟などの支援を進められるそうです。
現在、日本の高校進学率は約99%ですが、高校在籍者数からみた外国人登録者数の高校進学率は4割に満たない状況です。外国人の場合、小中学生世代の就学率も7割程度と見られていますが、高校進学率となるとさらに減少することになります。
文科省の調査(2018)によれば、日本語の指導が必要な生徒の大学進学率は約4割であり、公立全体の約7割から見てもかなり少ない状況です。また、高校での単年度中退率は約1割であり、卒業までに入学者の約3割が中退していることになります。
保護者と共に来日した「家族滞在」の在留資格で日本に暮らす子どもたちは多数。外国籍の高校生の約4万人のうち約15%にあたる6,000人に相当します。彼らには奨学金(日本学生支援機構)の受給資格がなく、就職しても労働時間は週28時間以内に制限されているため、正規就労は難しくなっています。現行の制度では、義務教育修了と高校卒業で「定住者」、高卒と就職内定で「特別活動」の在留資格が得られ、労働時間の制約がなくなるので、高卒資格の価値は大きいと言えます。
一方、日本で生まれ育った子どもの小中学校への就学と学びの支援も必要ですが、保護者と共に来日した子どもには、高校の生徒募集での特別枠が大きな意味をもつことになりそうです。
神奈川県は、1995年から県立高校に入学特別枠の制度(来日3年以内)を整備し、既存の枠の拡大を行い、教育機会の拡充を図り、多文化共生教育の実践を進めています。高校入学後に必要となるのは、日本語の支援だけでなく、日常生活における困難や悩みなど多岐にわたります。県教委はNPOと連携して「多文化教育コーディネーター」を27校に配置。公民連携により、多文化理解が深まれば、グローバル教育に寄与することは言うまでもありません。