校長ブログ

マヤ文明、最古で最大の遺跡発見

2022.04.07 トレンド情報
4月7日

 猪俣健氏(アリゾナ大学教授)を団長とする古代マヤ文明の遺跡を進める日本やアメリカ、メキシコなどの合同調査チームが紀元前1000年頃、メキシコ東部の熱帯雨林の森林や牧草地広がる同文明で最古・最大の建造物を発見したとネイチャー誌に発表されています。

スクリーンショット 2022-04-01 14.40.39.png

 南北約1.4キロ、東西約400メートル、高さが15メートルであり、祭祀用と見られるこの遺跡は「アグアダ・フェニックス遺跡」と名付けられました。

 平面的な構造をもつこの遺跡は、西暦250950年、マヤ王朝時代、王の権力を誇示するために建てられたピラミッドとは異なり、社会的な階層がはっきりせず、定住生活が始まった頃、共同祭祀に使われ、集団の結束を高めるために作られた模様。

 調査チームの青山和夫氏(茨城大教授)は「マヤ文明の起源に迫る成果」と述べられています。これまではグアテマラのセイバル遺跡が紀元前950年ごろの建造とされ、最古と考えられていました。今回の発見では、他の遺跡で見られるような権力者を示す石彫等は見つかっておらず、猪俣氏は「人々が自発的な意思で集まって、建てたのかもしれない」と言及されています。また、青山氏は「人々が定住を始めて間もない時期に造られたものだ。神聖な山を築くことで、共同体のアイデンティティーを確立しようとしたのでは」と述べられています。

 調査チームは、201820年、グアテマラ国境近くのメキシコ・タバスコ州にて航空レーザーによる調査を実施したところ、樹木で隠された構造が浮かび上がり、地上探査を進めた結果、それが南北約1400メートル、東西約400メートルにわたる人工建造物だと分かったそうです。

 マヤ文明で最大と考えられてきたエル・ミラドール遺跡の建造物より、40万立方メートル以上大きいとのこと。大基壇の周辺には最長6.3キロに及ぶ道路計9本や貯水池があり、採取した炭素試料の放射年代から紀元前1000年に建築され、その後200年間にわたり増改築したと推定されています。建造物の上部に広がる平面状の「基壇」は自然の岩盤に土を盛って造ったと見られており、建造物の体積を320万~430万立方メートルに至ることから、1千万人以上の労働力が必要だったと推定されています。