校長ブログ
免疫力
2022.04.06
トレンド情報
4月6日
新型コロナウイルスの詳しいメカニズムはいまだ解明されておらず、目下、十分な睡眠と食事が大切と言われています。そのような中、病原体から体を守る免疫の働きが注目され、ウイルスの抗体検査に注目が集まっています。これは感染者が免疫を獲得したかどうか調べる検査のこと。獲得した免疫はワクチン効果にとって重要であるだけでなく、感染しても免疫があれば、数十年にわたり体内に抗体ができ、さらに、約6~7割の人に抗体があれば、感染を防ぎ、集団免疫につながるのです。
免疫は、細菌やウイルスなどの病原体からの攻撃を防御し、体から追い出したりしてくれる働きをもつのですが、新型ウイルスはこの防御を巧みにかいくぐり、病気を引き起こします。しかし、人はこの免疫のおかげで、病原体などが多く存在する野外でも生活することができるのです。
免疫には2つの仕組みがあり、その1つが「自然免疫」と言われるもの。これは病原体が入ってもいち早く察知して働き始めます。自然免疫は、血液に含まれるマクロファージや好中球、樹状細胞などの細胞などで食細胞と呼ばれ、病原体を取り込み排除してくれるだけでなく、病原体が増えてインフルエンザや麻疹などが発症するのを防ぎます。
現在、結核を予防するBCGというワクチンを接種する国では新型コロナウイルス感染症患者が少ないことから、BCGによる自然免疫の働きが注目されているようです。"はんこ注射" で知られるBCGは元来、牛に感染する結核菌を使い、毒性を弱めてつくったワクチンですが、乳幼児の結核の予防効果が認められています。
ニューヨーク工科大学の研究グループによれば、イタリアや米国など、BSGを接種しない国は、日本やブラジルなど、接種を推進する国より罹患率や死亡率は高いとのこと。しかし、自然免疫を担う細胞は働きが長く続かず、自然免疫の攻撃を逃れ、体の奥深く侵入する病原体も少なくないことからその効果を疑問視する専門家もいるようです。
そこで、今、期待が集まっているのが、もう1つの免疫として病原体の特徴を調べて攻撃する「獲得免疫」です。獲得免疫は、① 血液中の樹状細胞などが病原体を取り込み、ペプチドに分解。② 樹状細胞はリンパ節や脾臓へ移動し、病原体の印となるペプチドをヘルパーT細胞という免疫の司令塔に示す。③ ヘルパーT細胞は、病原体の特徴をキラーT細胞やB細胞と呼ばれる他の免疫細胞に伝え、④ この情報を受けたキラーT細胞は病原体に感染した細胞を強力に攻撃する一方、B細胞は「免疫グロブリン」と呼ばれる抗体を作り出し、病原体の働きを抑え込む仕組みだそうです。新型ウイルス対策の一つとして、免疫システムの研究と実用化に期待したいと思います。