校長ブログ
AIの功罪を考える
2022.04.04
トレンド情報
4月4日
AIは人間の思考をコピーし、会話まで可能にする「デジタルクローン」を生み出しました。複雑な意思決定をどこまで委ねるかは議論が分かれますが、SNSへの投稿等のデータを基に、質問や答えを用意し、メールを作成したり、会議に出席するというから驚きです。
サイエンス誌は、昨年の最も優れた研究成果として、「アルファフォールド」(英ディープマインド)というAIを選出、タンパク質の立体構造を予測し、知覚や運動など、生命活動の根幹について人間の知識や理論を超えた発見をもたらす可能性があるとしています。
今や、将棋や囲碁の世界では、AIが定石とは異なる手法で棋士らに気づきを与え、実力向上に資する役割を果たす時代です。こういった事例は、スポーツや芸術など、様々な分野で広がりを見せつつあり、AIがファシリテーターになっているのです。
AIは労働生産性の改善などで2030年の世界のGDPを最大15.7兆ドル(約1800兆円)押し上げ、経済成長をもたらすことが試算されています。ちなみに、計算機は暗算力を衰えさせましたが、物理や化学の水準は上がったと言われています。その意味で、より高次の判断に関わる部分で人間にとって代わるAIは、共存のための知恵が欠かせません。
一方、米国の言語AIである「GPT-3」は、大学の授業で合格点を得るリポートなど、自然な文章を作成する半面、依存すれば知的作業の放棄につながることが指摘されています。コロンビア大やテキサス大学の研究では、インターネットやスマートフォンが記憶力や集中力の低下を引き起こし、AIは人間の思考能力を奪ってしまう恐れを懸念しています。AIは使い道によっては善にも悪にもなる可能性がありますが、その是非を決めるのはあくまでも私たち次第なのです。