校長ブログ

3学期終業式

2022.03.23 学校生活
3月23

 22日、3学期の終業式を行いました。1年間の振り返りをしっかりして、次年度のPDCAサイクルにつないでいただきたく思います。

 一日は一生の縮図。一瞬間の積み重ねが一日になり、一日の積み重ねが一週間、さらに一ヵ月になり、それがさらに積み重なって一年になり、一生になるのです。時間を有効に使っていきましょう。

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新型コロナウイルスの感染拡大の影響は、ヒトやモノが国境を越えられなくなるグローバル危機をもたらしました。世界は混乱、不安な気持ちになるのは当然であるし、皆、同じです。長い時間軸で捉えれば、人類は感染症との闘いを繰り返してきました。大切なのは、その度ごとに人は事態を冷静に受け止め、いかに危難を乗り越える努力をしてきたかを知ること。それが世界を広げる学びにつながるのです。

 学校生活でも感染症対策として制約の多い中、対面型授業やオンラインによる双方向型の学習に慣れている生徒諸君にとって、自分で時間を調整して取り組む学習への取り組みは予想以上にたいへんなことだと思います。その中でも最大の課題は、モチベーションの維持と学習習慣の定着。つまり、一人ではなかなかやる気が起きない、他にやることがあって勉強に身が入らないといった理由で "続ける"ことができない状態に陥りがちです。友達や先生方との交流が図りにくいといった問題もあります。気分転換をはかりながら自分のペースで乗り切ってほしいものです。大切なのは創意工夫。今こそ、"新しい生活様式"に向けて、自己調整学習の習慣を、身につけてください。

 最初に3学期始業式にお話したことを復習しておきます。3学期は学年末、1年間を総括する時期であるのと同時に、次年度に向けての準備期間。その意味で、学院の教育ミッションである3C、コミュニケーション、コンシダレーション、コミットメントの下、建学の精神である「自学自習、情操陶冶」が達成できたかどうかを振り返り、次年度のさらなる成長につながなければなりません。

 3学期は1年の総括として、中学の大テーマは「リアルな社会的問題の解決に向けて、必要とされる学びを深めながら本質を捉え、既成概念に捉われない着眼点を伸ばし、個別最適化学習(アダプティブ・ラーニング)の基盤をつくる。」、高校は「自分の可能性を認識するとともに、他者を尊重し、協働しながら社会的変化を乗り越え、持続可能な社会の創り手となると同時に、各自が夢の実現に向けて、高い志を持ち、教育ミッション、建学の精神を具現化する。」でした。

 その上で、中学の小テーマは、年間の振り返りと次年度のPDCAでした。高1の小テーマのキーワードは、進路目標と自己実現、PDCAサイクル、自身の役割と他者との協働でした。高2は、振り返りと学習計画、PDCAサイクルに向けての自律的行動でした。

 2学期終業式のおさらいもしておきましょう。高1は、すべての授業を大切にして、教科横断的に物事を考えられる力をつけること。そして、実社会では様々な分野の人たちが相互補完しながら仕事を進める産学連携が推奨されていることから、自ら問いを立て、探究し続ける真摯な姿勢をもち、世界を新しい視点で見つめ、解決に向けて行動する指針を立てることを是非、実行してほしいということでした。高2は、大学進学に向けて、具体的な学習計画と自学自習を継続すること。現状に甘んじることなく、未来の"あるべき姿"をイメージしつつ、ポテンシャルを最大限に引き出す努力をお願いしました。

 大学入試改革に伴い、大学入試センター試験から大学入学共通テストにリニューアルされて2年が経ちました。センター試験と大きく違う点は、多くの教科で複数の素材を関連付けて読ませ、情報を組み合わせて思考力・判断力・表現力が問われる問題が出題されるところ。入試の形式がいかに変わろうとも、教科書を中心とした基礎・基本を重視した試験になることは不変です。強調しておきたいことは、日々の勉強を着実にこなすこと。5教科が定期的に行う確認テストや定期考査を大切にすること。そして、「デキタス」「Qubena」「スタディサプリ」などのEdTech教材を活用し、効率のよい個別最適化学習に努めることです。同時に、「アドバンスト講習」では予備校講師の力を借りて、受験対策を万全にしておきましょう。そのためにも高3の夏までに高校全範囲の学習を終わらせ、夏期休暇からは志望大学の過去問に取り組めるようにしておいてください。 

 これまでの日本の中高生について言うと、将来の就職を見越して偏差値の高い大学に入るために勉強するという考え方が主流でした。しかし、今や電気自動車、自動運転、カーシェアリングなどに代表される移動革命や医療・農業など、社会の変わり様はすざましいものがあり、それに対応するスキルを磨かなければなりません。グローバル化が進展し、今や、学歴社会ではないと言われ、学歴信仰を助長するような文言は控えられるようになりました。物知りと頭のよさは同じではありません。いくら知識や情報がたくさんあってもそれを状況に応じて使いこなせなければ社会に役立つ人にはなれないでしょう。大切なのは、置かれた立ち位置の中でどれだけ自分を研く努力をしたかということ。だからこそ、"行ける"大学ではなく、"行きたい"大学にこだわって最後まで挑戦し続けてほしいと思います。大学受験は確かに重要なターニングポイントになりますが、それで人生が決まってしまうわけではありません。志望校に入れなかったことによって新たな人生が開けることもあるのです。だからこそ、人生は面白いのです。大学入学後、真剣に打ち込める研究分野に出会ったり、心の通い合う生涯の友人をつくることが若者の最大の特権であり、それを活かした確かな成長があることも忘れないでください。 

 時期がくればコロナは終息するでしょう。生徒諸君には、スキマ時間を最大限に利用して、本を読んでほしいと思います。そして、これまでに学んだ知識を総動員して、新しい学びや生き方が見出せないか考えてみてください。例えば、感染拡大の「山」をなだらかにしてこれ以上、感染者を増やさないようにするにはピーク時と比較しながら "積分"すれば、人数が同じになり、結果的に、同じ数だけ感染者が出ても "微分" して「山」をなだらかにすれば、現在の医療体制で対応できるといった発想です。自分を見つめられるこの時期、日々の暮らしの中で、今、何を学ぶかというテーマをもってほしいと思います。社会に出てからも同じことが言えます。若い頃の能力差は紙一重であり、努力の積み重ねがやがて大きな舞台に導くのです。すぐに成果が出なくても地道な勉強を継続していくと、ある日突然、伸びる瞬間に立ち合うときがきます。そういう経験を積んだ人こそ、壁にぶちあたっても、最適解に導ける"引き出し"と自信を持っており、ここ一番の決断ができるのです。今はその準備期間と考えて、"学びの自律"を確立してほしいと思います。

 健康にはくれぐれも留意し、新学期に向けてしっかりと準備していきましょう。担任の先生方は、中高全クラスとも年間到達目標を設定しておりますので、再度、確認していただき新学期に備えてください。