校長ブログ
学校経営論②
2022.03.12
カリキュラム・マネジメント
3月12日
前回の「学校経営論」の続編です。
N氏:新型コロナ感染症という危難を受けて、遠隔授業が広がりましたが、個別最適化との関係をどのようにお考えですか?
校長:確かにコロナ禍で、授業のあり方を見直さなければならなくなったわけですが、オンラインを活用した個別最適化学習(アダプティブ・ラーニング)はそれ以前から標榜されていました。学習指導要領の改訂、大学入試改革などの環境変化の中、今、EdTech教材が定着しつつあります。これは、Education(教育)とTechnology(テクノロジー)という語を組み合わせたもので、教育界にイノベーションを起こすトレンドとして注目を集めています。経済産業省は、人間がAIと共存していく社会で必要となる能力をチェンジ・メーカー(未来を創る当事者)と定義し、社会課題の解決をテーマ化し、アダプティブ・ラーニング、STEAM教育を推奨、学びのシステムの環境づくりとして「未来の教室」を進めています。本校も「先端的教職用ソフトウェア実証事業」の実証校として、試運転を済ませ、本格導入していきます。
N氏:そういったものも教育活動に組み込み、質の向上のみならず、広報にも活かし、健全な学校づくりを支える一助としようということなんですね。
校長:背景にあるのは、グローバル社会におけるダイバーシティを受け入れ、正解が一つでない課題に対して、しなやかな感性で最適解を導き出せる学力の育成です。中高生にとって必要とされるリテラシーは、実社会に直結する文理の壁を超えた、教科横断的な背景知識であり、そのツールとなるのが、EdTechを活用した到達度に応じたオーダーメイドの学習によるアダプティブ・ラーニングなのです。
N氏:アダプティブ・ラーニングの利点をご教示ください。
校長:生徒個々の誤答分析や学習履歴を蓄積することで、学習者自律(Learner Autonomy)の基盤を作れることです。効果を上げるためには、教育プログラムを単にデジタル化した「知識学習」とするだけでは不十分であり、学習進捗状況を一元管理し、「経験学習」ができるLMS (Learning Management System)システムを構築することが必須。LMSは、インターネット上で教材を配信したり、学習履歴を管理するためのプラットフォームとなります。本校でも各教科の背景知識を強化する従来の指導に加えて、課題発見・解決への探究・プロジェクト型学習(PBL)を融合し、多様な「学びの選択」を実現していきます。
N氏:校長先生がお考えになられる学校経営の基本線が見えたような気がします。
校長:今、学校現場に必要なのは、生徒一人ひとりの主体的な学びをどう構築するかという「学び方改革」、また、それを達成するためにどのようなカリキュラムを組んで指導するかという「教え方改革」、そして、その成果を個別のみならず全体でどう評価するかという「カリキュラム・マネジメント」であり、その総体が"良循環型"の学校経営と言えるのではないでしょうか。
N氏:よくわかりました。昨年は着任されたばかりでしたが、1年間でかなり構造改革が進み、教職員のベクトルを1つに向けただけでなく、ICT教育もかなり先端レベルにまでもっていかれたと伺っております。ここからがいよいよ本格始動ですね。ワクワク感満載の学校づくりを期待しております。
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