校長ブログ
学校経営論①
2022.03.11
カリキュラム・マネジメント
3月11日
関西国際大学の教職科目である「学校経営論」を担当させていただいており、その内容について、教育評論家のN氏と対談する機会がありました。本日は、その一コマをお届けします。
N氏:ドラスティックな改革で知名度の高い平井校長ですが、今後、私立中高の理想的な学校経営はどのようにあるべきだと思われますか?
校長:グローバル化、DX化が加速する中、激動する教育界においても課題が山積しており、早急に解決を図っていかなければなりませんが、その中で、"良循環型"の学校を創造していくには、健全な経営の枠組みが必要であり、これはいつの時代も同じだと思います。当然、枠組みとなるシステムを構築するためにはグランドデザインが不可欠です。そのためには、ヒト、モノ、カネといった経営資源を有効活用して、教職員スタッフの心をつかみ、ベクトルを一つにする「チーム学校」へ意識づけとスピードある改革を浸透させつつ、PDCAサイクルを回すことが一番の近道であるのではないでしょうか?
N氏:校長がお書きになられたものを拝読すると、カリキュラム・マネジメント、エンロールメント・マネジメントという言葉がよく出てくるのですが、要はガバナンス、マネジメント改革のことと考えてよろしいですか?
校長:大雑把に言うとそうですが、入学から卒業までの学校生活の中で、生徒個々を組織的な運営の中で成長させていくということですね。
N氏:組織的な運営の根底には経営の枠組みがありますよね。
校長:経営の枠組みで考えれば、ビジョンの設定、つまり、目標となる「あるべき姿」の設定が第一歩。次に、現状課題を洗い出し、その克服に向けた戦略構築が求められ、その総体が経営計画ということになります。ここからが現場を預かる者の"腕の見せどころ"です。どの学校でも独自の文化と風土があり、抱える課題も千差万別。従って、各校園の当該年度における課題抽出と年度計画の策定、スケジュール管理が最初の仕事ということになります。それに伴い、教職員に対して、全体目標となる運営方針を落とし込み、個別目標の設定と合意形成を得た後、分掌・学年・教科・個別のPDCAサイクルに定着させ、学校評価に連動させて全体目標の達成に寄与していかなければなりません。大切なのは、そういった取り組みが円滑に行われているかどうかの進捗管理と指導・助言を繰り返し、粘り強く成長を見守り続け、時には率先垂範する"ぶれない"信念に他ならないのです。校長は監督だけではいけないのです。
N氏:頭ではわかっているのですが、なかなかできていないのが現状だと思いますし、それをやってこられた先生の辣腕には脱帽です。生徒募集にも積極的に関わられていると聞いていますが...
校長:勿論です。少子化の影響は年々、深刻さを増し、生徒数の減少に伴い、全体の適正規模を考えると学校数は減少せざるを得なくなってきています。放っておくと自然淘汰されてしまいます。私学は「生き残り」をかけて、特色ある学校づくりに邁進し、様々な戦略を講じていかなければならない宿命があるのです。大学の附属校化、共学化、進学校化、コース再編、探究型教育、グローバル教育の推進などはその一例にすぎません。また、ほとんどの学校では多少、名称は異なるものの、いわゆる入試広報部を設置し、入試説明会や個別相談会等を開催するだけでなく、学校の教育活動を伝えるためのホームページ充実など、受験生確保に向けた自校アピールに尽力しています。(続)
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