校長ブログ

教師は人づくり、学校経営は学校づくり

2022.03.10 カリキュラム・マネジメント
3月10

 関西国際大学で教職科目である「学校経営論」を担当しています。今回はその振り返りを行いたいと思います。

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 学校経営論というと、なにかとっつきにくいイメージがありますが、私の場合、現場経験を生かして「教師は人づくり、学校経営は学校づくり」をモットーに、「主体的・対話的で深い学び」になるよう配慮しつつ、授業を展開しています。中高の教師をめざす学生たちの視線は真剣そのもの。物事を吸収しようとする若者の姿は素晴らしいの一言です。

 指導内容は、『大阪市教育振興基本計画』に基づき、自治体の取り組みと成果、問題点と対策を抽出し、公立の実態を把握、来るべき教員採用試験の準備期間としています。また、本校におけるガバナンス改革や新学習指導要領に対応するカリキュラム・マネジメントについても触れ、組織運営のスキルの一端を垣間見ていただいております。

 指導方法は、思考→判断→協働→発表といったアウトプットを重視、探究学習指導に資するよう心がけています。同時に、不登校生の増加、来日外国人子女の日本語問題など、タイムリーなテーマも組み込み、様々なデータや資料を多用しつつ、現代社会が抱える教育の諸問題を複眼的視点から考察、毎回、レポートを提出してもらっています。

 コロナ禍という異常事態の中、大阪市も本校も1人1台端末が実現し、双方向での同期型オンライン学習が定着しています。そして、今、経済産業省の「未来の教室」に代表されるEdTech教材を活用した個別最適化学習(アダプティブ・ラーニング)が進み、自己調整による非同期型オンライン学習が組み込まれつつあります。生徒にとっての当面の課題は、モチベーションの維持と学習習慣の定着ですが、解決策は非認知能力の向上に他なりません。非認知能力とは簡単に言えば、興味・関心、粘り強さ、自己効力感といった目に見えない力のこと。その育成が一番難しいところのですが、要はきっかけづくりができるかどうかが腕の見せ所。教師のレゾンデートル(存在意義)とも言えます。ここはテキストには書かれていないところなのですが、最重要項目です。

  オンライン授業になって、教師側の課題となるのが教育機器の操作とファシリテーターとしての役割です。教えこむだけでは本質を見極める力、つまり、本物の力はつきません。生徒個々の主体的な学びに向かわせる姿勢を養うには伴奏、つまり、寄り添う姿勢が一番。勉強でもクラブでも生徒が成長していくための必須条件です。本校では陸上部が全国大会出場等、過去最高の記録を残してくれましたが、成功の秘訣は指導者がファシリテーターに徹し、非認知能力を引き出したことに尽きると職員朝礼でも称賛したばかりです。

 ある学生が学校経営論を学校が学校であるための「ガイドブック」と比喩し、「何よりも第一に子どもたちの安全や幸せ・充実を考え、さらにそれをどの行動においても根本に置くこと。そして、子どもたちだけではなく共に働く教員、仲間たちの立場になって、考える。これらは、人を思いやる行動であり、このような思いやりのある行動は教育現場をより豊かにすることを、この授業を通して強く感じた」と表現してくれました。教育という仕事は素晴らしいものです。一人でも多くの教員がこの講座から輩出されることを切に願う次第です。