校長ブログ
高校卒業式
2022.02.17
学校生活
2月17日
16日は高校の卒業式を実施しました。3年生が学び舎を巣立っていきました。人生での大きな関門とも言える進路先決定への努力は勿論のこと、自らの夢・希望を見つけ、さらなる人間的成長を経て、社会に貢献する成人として羽ばたいていくことでしょう。その過程で、6ヵ年、もしくは3ヵ年、前途有為な生徒諸君に"伴奏"させていただく機会を与えてくださった保護者の皆様には教職員を代表して厚く御礼申します。益々のご発展を祈念しております。
新たなるステージに進む君へ
-不確実な時代を生き抜くためにー
校長 平 井 正 朗
With/Afterコロナの中、本日、卒業証書授与式を厳粛な中にも晴れやかに挙行できますことは、教職員一同、この上ない喜びでございます。保護者の皆様におかれましては、ご息女がめでたくご卒業をお迎えになり、心よりお喜び申し上げます。この場をお借りしまして、本校教育へのご理解、ご協力、ご支援に対し、深く感謝の意を表します。
さて、高校の全課程を修了し、ただいま、卒業証書を授与された普通科94回生、音楽科54回生が学び舎を巣立ちます。改めまして、ご卒業おめでとうございます。中高6ヵ年、高校3ヵ年、嬉しかった事、つらかった事など、様々な体験をされ、今日という日を迎えられた皆さんの真摯な努力に心から敬意を表します。しかし、卒業は皆さんの努力だけで成し得たことではありません。皆さんを育ててこられた保護者の方々、教え導いてくださった先生方、温かく見守っていただいた地域の方々に支えられた賜物であり、感謝の気持を決して忘れないようにしてください。
卒業に際し、はなむけの言葉を贈りたいと思います。新型コロナウイルスの危機は、経済の停滞や人口減、格差拡大や民主主義の動揺をもたらし、成長の限界を世界に突きつけたとも言われるくらい大きな影響を及ぼしました。日常生活の仕組みやルールが見直され、ニューノーマルへの対応が急務となっています。
米国のマッキンゼー・アンド・カンパニーは、2030年までに日本で約30の業務がロボットやAIに代替される可能性を試算しています。労働力人口は減少するものの、自動化による業務の減少分を差し引き、新たに創出される雇用などを加えると150万人分の労働力が不足する計算になるそうです。少子高齢化による働き手不足に悩む日本にとって、単調な繰り返しを要求する仕事はロボットに任せ、生産性の高い仕事に人を配置できれば人手不足を補うだけでなく、全体の生産性が向上するはずです。狩猟、農耕、工業、情報という社会に続き、仮想空間と現実空間が融合した新たな社会を迎えつつある中、求められるのは知の集積に他なりません。
新学習指導要領には、2030年までの国際目標として、SDGsに向けて、「一人一人の児童が、自分のよさや可能性を認識するとともに、あらゆる他者を価値のある存在として尊重し、多様な人々と協働しながら様々な社会的変化を乗り越え、豊かな人生を切りひらき、持続可能な社会の創り手となる」ことが盛り込まれています。文部科学省は、子供たちを"誰ひとり取り残すことなく"、公正に個別最適化された学びを持続的に実現させるべく、GIGAスクール構想を立ち上げました。国際競争力における低下を受けて、教育界にイノベーションを起こさなければならないとする経済産業省の「未来の教室」などはその一翼を担います。様々な仕事がロボットやAIに代替される可能性が試算される時代、社会が必要とするスキルは、正解が一つではない問題に取り組み、最適解・納得解を探究する姿勢です。その意味で、これまでの入試で問われ続けてきたような、インターネットで検索すればすぐに正解が出てくるような、暗記力重視の問題を処理するようなレベルではなく、知識の活用力が今後、フォーカスされるでしょう。
諸君はこれからそれぞれの道に進まれるわけですが、一人の人間として人生を歩む上で大切なのは、自分が選んだ道で、どれだけ努力するかということ、そして、どれだけ人間として成長するかということです。たとえ一流と言われる大学へ入ってもその後の努力がなければ落伍するでしょう。たとえ大学を卒業して一流と言われる会社に入っても、あるいは、どんなに高収入を得ても偏狭な利己主義者では仕方ありません。肩書がなくても、社会に出て苦労し、人間として愛され、信頼されて生きることの方がはるかに大切ではないでしょうか。学ぶ場所や手段が問題ではないのです。手段が異なるだけなのです。まして、学校や、頭の良し悪しは関係ありません。ある者は文字を通して、また、ある者は額に汗し、労働を通して学ぶでしょう。しかし、それらは人間として成長していくことが目的なのです。どうかそれぞれの道で精進され、謙虚で、感謝を知る人間に成長していただきたく思います。
建学の精神である自学自習と情操陶冶、学院教育ミッションの3CであるCommunication、Consideration、Commitmentの具現化に向けた数々の絆を称賛し、共に苦楽を味わった一人として、皆の門出を祝福しつつ、学校生活が技能習得以外にも目的があったことを念じてやみません。今、本校は激動の時代を豊かに生き、本質を見極められる人財を育成すべく、新たなステージを歩み始めています。諸君もパイオニア精神を発揮して、直面する難題に立ち向かう強い意志と健全なリスク管理をもち、一人ひとりが幸福な人生を生きるための未来を切り拓いていってください。卒業、おめでとう!
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