校長ブログ
コロナ禍による働き方の変容
2022.02.08
トレンド情報
2月8日
With/After コロナの時代、多くの企業で働き方に変容が見られます。代表的なものがジョブ型雇用。しかし、その成否は、EdTech教育と同様、モチベーションを維持する仕組みづくりにかかっていると言っても過言ではありません。
ジョブ型雇用とは、予め仕事の内容や責任を決め、成果によって評価する仕組みであり、欧米では一般的なもの。数年後にはジョブ型を導入する企業が管理職で過半数、総合職でも半数近くになるという調査(マーサージャパン)もあるくらいです。多くの仕事を経験させ、年功序列を軸とする日本のメンバーシップ型雇用とは対極的です。今、成果と評価の結びつきを維持しつつ、雇用を保障する「日本版ジョブ型」のあり方が模索されていますが、その背景には、企業間競争が激しいこの時代、豊富な背景知識に基づく革新的なアイデアによってイノベーションが生み出さなければ生き残りは難しいという危機感があるようです。
「ワークエンゲージメント」という言葉が注目されています。これは、欧州で2000年代に確立された働く人の主体性や熱意を測る尺度のことであり、「働きがい」という訳語があてられています。働きがいには「やりがい」と「働きやすさ」があると言われていますが、「働きやすさ」という点で言えば、コロナ禍で普及したテレワークは、時間と場所の制約を取り払い、職場の多様性を高めました。しかし、生産性が向上したと答えた人の割合が日本は2割未満にとどまり、対象とした11カ国中最低というデータ(米オラクルなど)もあります。
世界22カ国の働き手に実施した意識調査(米リンクトイン)によると、人生の成功のために重要なことは「一生懸命働くこと」(81%)、「変化を許容すること」(80%)、「人とのつながり」(76%)が上位を占めていますが、日本では「一生懸命働くこと」(72%)、「幸運」(66%)、「機会の均等」(62%)となっています。また、仕事観について「自分が好きなことができる」人の割合は世界平均の約4割に対し、日本は3割未満です。
経団連の新成長戦略(2020.11)には、DX(デジタルトランスフォーメーション)の進展に伴い、社内で生まれる業務に人材を円滑に異動させるため、リスキリングが必要という文言が盛り込まれています。(DXによって、世界で約8,500万人分の仕事が消失する一方、約9,700人分の仕事が新たに生まれるとの試算もあります)リスキリングとは、仕事をしながら自分自身のスキルをアップデートしていくこと。(学び直しにはリカレント教育という言葉が使われていますが、これは仕事を止めて大学などに入学し直すことを意味しています)
日本は働き方改革によって労働時間の短縮は進んだものの、限られた時間から付加価値を生み出す点で課題があります。少子高齢化による労働力減少を視野に入れ、働きがいと生産性を高める先鞭をつけるのは大人の役割なのです。