校長ブログ
AIが酒造りまで変える?
2022.02.04
トレンド情報
2月4日
森林総合研究所によって木をお酒に変える技術が開発されたそうです。ちなみに、丸太1本からウイスキーボトル100本以上の蒸留酒を作れるとのこと。科学技術の進展は日進月歩。お酒の製法史に新たな一頁を刻み込んだのです。
酒造りの歴史をひもとくと、人類は、かつて、果実や穀物が発酵するお酒の恵みにありつきました。そして、紀元前5000年頃、コーカサス地方でブドウ酒、紀元前4000年頃、メソポタミアで麦酒が初めて作られたようです。古文書には、酒が薬や栄養価が高い飲み物としても扱われ、神聖な儀式にもたびたび登場することが記されています。
木の成分の大半はブドウ糖につながるセルロースであり、それを細かいビーズと混ぜ合わせて1マイクロメートル以下に砕き、酵素を使って分解して糖にし、発酵して醸造酒と蒸留酒にしたのが木のお酒というわけです。木の種類によって香りが変わるそうです。
伝統産業の支援に取り組んでいる東京にあるアイマという企業は、酒造りを指揮する杜氏(とうじ)をサポートする役割をAIに担わせました。通常の工程なら米を蒸す前に水を吸わせ、杜氏が米の膨らむ状態を見ながら、最適なタイミングで水から引き上げる流れなのですが、今回の特記事項はAIが米の膨張率や割れ具合を画像データから読み取るというもの。また、同じく東京にあるセントマティックは、お酒を口にするとき、その時の気分によってどの種類がよいのかをアシストするAIを開発しています。風味を言葉にしてくれるという「日本酒ソムリエAI」は、タブレットでお酒の名前を選ぶと風味を表す言葉が出てくるという優れもので、当然、導入した飲食店では注文数が増えるという仕組みになっています。
AIに香りに関する表現を学習させ、お酒を口にした人の想像した言葉のデータをひもづけるという知の結集が風味の選択肢を広げてくれました。酒づくりにおいて目利き、磁場の役割を果たすAIの存在は、人間の食文化にも一躍、貢献しているのです。