校長ブログ
パーパス
2022.01.10
トレンド情報
1月10日
コロナ禍で社会の発展に寄与してきた会社の立ち位置に変化が生じてきた感は否めません。歴史的には、株式会社が誕生してから約400年が過ぎ去りましたが、今、その存在意義が問い直されていようとしているのです。
社員が夢のある未来を語れるように、パーパス(Purpose)を作る会社が出てきています。パーパスとは「社会での存在意義」を意味し、会社が何のためにあるのかを問い直す会社経営のキーワードです。
米国マイクロソフトのサティア・ナデラCEOは、「地球上のすべての個人とすべての組織が、より多くのことを達成できるようにする」ことを目途にパーパスに取り組まれています。名和高司氏(一橋大大学院客員教授)はパーパスを「志」と訳され、一人ひとりの行動と結びつけば「優秀な人材、顧客からの支持、市場での高い評価につながる」と述べられています。
米国のスターバックスやIBMなどが加盟する団体は、消費者100万人の評価を基にしたパーパスの点数と収益との関係を分析し、「高パーパス企業」の方が「低パーパス」の2倍近いという結果を導きました。ボストン・コンサルティング・グループによると、パーパス策定に関する問い合わせは倍増、日本について言えば5倍に急増しているそうです。ビジネス・ラウンドテーブルという経産省団体は、「パーパスの再定義」を呼びかけています。
会社は、資金を集め、雇用の場をつくり、世代を超えて事業を継続してきました。結果、世界のGDPは約50年間で約60倍に拡大、経済成長の言動力になり、生活を豊かにしてくれました。しかし、その反動が生じたこともまた事実。世界銀行によると、2050年までに世界の廃棄物の発生量は約7割増になり、エネルギー消費に伴う地球温暖化などの社会問題に発展しました。
会社・社会の「社」という語は中国語から由来し、「志で物事を行う集団」を意味するそうです。ぶれない姿勢で社会に貢献できる会社の存在意義(レゾンデートル)を追求する志こそが成長戦略に直結するという発想は学校経営にもあてはまるものです。