校長ブログ

神戸の発展①

2021.12.29 トレンド情報
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 Afterコロナ社会に向けて、神戸市は、次世代産業の創出のために取り組んできたスタートアップの誘致・育成に加え、水素エネルギーやロボットによる遠隔医療の技術革新など、さらなる発展に向けてのスタートをきっています。  

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 神戸市は京都・大阪両市と共に2020年、スタートアップ支援のグローバル拠点に選ばれ、産官学のコンソーシアムを立ち上げました。地元の大企業が協力会員として加わるだけでなく、内外にも門戸を開き、100以上のスタートアップや新技術を呼び込む方針を打ち出しています。

 例えば、UNOPS(ユノップス:国連プロジェクトサービス機関)は、SDGsに関する課題解決にチャレンジする起業家や内外の企業6社の実証事業を支援。地元経済へのノウハウ還元という点で県と神戸市はユノップスと連携、SDGsの課題解決に挑むプログラムを立ち上げています。また、県は起業を志す若者を対象にした「スタートアップアカデミー」も開設する方向です。  

 SDGsへの産官学連携で言えば、認知症予防の研究で先端をいく神戸大が、身体センサーを使った筋トレ等で実績のあるスタートアップ企業と協働、オンラインによる運動教室や体力測定を通じて高齢者の心身の虚弱(フレイル)や生活習慣病などの予防を目指す健康長寿サービスを開始しています。ポートアイランドに医療産業を集積させる「神戸医療産業都市」の取り組みも進められてます。

 伝統的なものづくり企業も医療やエネルギーなどの分野では、昨年、国産初、遠隔での手術支援を可能にするロボット「ヒノトリ」(メディカロイド)が発売されました。神戸大学やNTTドコモが共同でヒノトリを遠隔操作する実証実験・模擬手術を重ね、臨床応用をめざすとのこと。実現が可能になれば、ベテラン医師が遠隔地の外科手術をサポートしたり、地方の若手医師を遠隔で指導したりするといった質の向上が見込まれます。 

 環境負荷の低い次世代エネルギーとして期待される水素社会の構築も進められています。川崎重工では、大量輸送に必要な液化水素運搬船が世界で初めて建造され、オーストラリアで生産した液化水素を神戸に輸送する実証実験がスタートするそうです。人工島ポートアイランドにある理化学研究所では、スーパーコンピューター「富岳(ふがく)」の稼働が始まり、計算能力のうち企業が使える割合は15%となり、以前の5%よりも大幅に広がりました。地元産業界での活躍が期待されます。

 神戸は国際色豊かな大都市ですが、自然に恵まれ、ものづくりを伝統とした食文化が豊かな街でもあります。近年、デジタルや医療など、先端分野が注目される傾向が強くなってきたものの、Afterコロナの時代を見据えると、安心・安全の下、健康や平穏な生活を維持する施策が求められるのもまた事実です。