校長ブログ
時代を振り返る
2021.12.28
トレンド情報
12月28日
2021年が暮れようとしています。新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、東京でのオリンピック・パラリンピックが1年延期、今年、開催されました。前回、東京で開かれたのは1964年、当時、東海道新幹線が開業、各地に高速道路ができるなど、日本は高度経済成長期に入り、1966年には世界第2位の経済大国にまで上り詰め、戦後、"奇跡の復興" を果たしました。
それから半世紀が経ち、グローバル化やDX化が進展したものの、工業化による拡大路線の行き詰まりや格差拡大、地球温暖化による環境破壊などの問題が浮上するのと同時に、世界の景気は減速、米中冷戦や朝鮮半島情勢など、不透明感も漂うご時世となっています。その中で日本における少子高齢化は進み、1947~49年の間に毎年270万人近く生まれた「団塊の世代」と比べても、現在はその1/3にも満たない状態です。
総務省の人口推計によると、1971~74年生まれの「第2次ベビーブーム世代」が成人した時は200万人を超えていましたが、ピークであった1995年以降は減少に転じ、今後も減り続けるそうです。今や、現役世代2人が高齢者1人を支える状況が、彼らが働き手となる2025年頃には1.4人で1人を支えることになると言われています。全体を展望した場合、明るい未来を次世代に引き継ぐにはAIなどの先端技術の活用やDXを通じて生産性を上げ、社会保障やエネルギー・環境政策を持続可能な仕組みに変容させ、産業競争力を高めるイノベーションが不可欠です。
高度経済成長期は売上高が伸びた時代。そのため大量生産が中心であり、勤勉で均質な労働力が求められ、年功賃金や終身雇用制度、定年制度といった日本独自の雇用形態が定着しました。一方、現代企業は働き方改革を進めつつ、競争環境の変化を先取りし、「選択と集中」による意思決定の速度を上げることが急務。また、少子化対策や持続可能な社会保障への転換に向けて、年齢にかかわらず、負担能力に応じた額を払う「応能負担」等を検討するのが国レベルでの課題です。さらに、エネルギー源として、原発の再稼働が厳しく、依存度を高めた石炭火力によるCO2の排出量が国際社会で非難されている昨今、再生エネルギーを使いやすい電源に変える政策が問われています。
産業革命以降、大量生産が消費や経済成長を支えてきましたが、近年、DX化が進み、富の源泉は情報やデータに移るなど、時代は確実に変化しています。しかし、IT産業は高い知能スキルを持つ人材だけを求め、社会の雇用を生み出す力が弱体化、所得の二極化をもたらしているのはまぎれもない事実。歴史をひもとけば、資本主義はこれまで何度も危機に直面してきました。産業革命の時代には労働環境の悪化、第2次世界大戦後には欧米で企業の国有化や規制強化が広がり、自由競争が後退する時期がありました。しかし、その度に英知を結集して難題を乗り越えてきたのもまた史実。その中で、高速計算機である量子コンピューターをはじめ、〝量子ネイティブ″と呼ばれる若い世代が新たな息吹をもたらしていることなどは明るい話題です。