校長ブログ
校長室の本棚から②
2021.12.02
トレンド情報
12月2日
11月27日、本校主催のシンポジウムでご講演いただいた浅野大介先生(経済産業省サービス政策課長・教育産業室長、デジタル庁統括官付参事官)の著書『教育DXで「未来の教室」をつくろう』(学陽書房)が出版されました。
序章では、1人1台端末GIGAスクール構想の上にどのような「未来の教室」を創るかが開陳され、教育DXが進む中、個別最適化学習に向けての環境づくりについて紹介されています。
第1章では、なぜ今、日本の教育が変わる必要があるのかを解説、先進校の事例を紹介しつつ、ワクワク感が「創る」と「知る」を循環させる学びにつながると説かれています。そして、そのツールとしてEdTech教材を活用した指導が教科学習だけでなく、探究学習にもつながることが付説されています。さらに、「人生を創る当事者意識」「社会を創る当事者意識」の意味、経済産業省「教育産業室」発足の経緯と「未来の教室」プロジェクトの始まりについて言及されています。
第2章では、「未来の教室」の土台を「学び・シゴト・福祉」とし、オープン型・水平分業型の学習環境を整えることが不可欠と述べられています。そして、その基本構造をスマホ的な構造をした誰もが満足できる学校と位置づけ、その中で、個別学習計画とスケジュール(=マイ時間割)を更新し続ける学び、ホンモノの課題から入り、「創る」と「知る」が循環する学びへ向かうDXの思考法が必要とされています。
第3章では、具体的な方法として、自己調整を繰り返し、個別最適のやり方を見つけ、生まれた余裕のある時間をSTEAMワークショップに切り替える方法などを示しています。第4章では、STEAMによって教科の壁を"溶かし"、学校を「知的創造のシゴト場」に変え、広域総合学科、みらいハイスクールを構想するという壮大な方向性が模索されています。
第5章では、未来の教室を「夢中になる」ことを正当化してくれるサード・プレイスと位置づけ、学校とオルターナティブ・スクールという二項対立を超えるための方策を示し、終章では「高信頼性組織」としての学校づくりを語られています。一読をお薦めします。