校長ブログ

新時代の学問

2021.12.16 トレンド情報
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 ビッグデータや AIを活用することによって、歴史学や文学などにおいても統計的な手法を駆使する「デジタル・ヒューマニティーズ(人文学)」という分野が拡がっており、これまでの定説を覆すような発見が期待されています。

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 日本では 2017年、「人文学オープンデータ共同利用センター」(情報・システム研究機構)が設立。研究成果としては、画像認識技術を使って江戸時代の木版印刷史料を解析することに成功しています。また、日本の歴史文献の「くずし字」を自動的に活字に置き換える翻刻技術も開発、江戸時代のものでも9割程度が正確に翻刻できるそうです。活字で表記することができれば、翻刻した史料はテキストデータとして処理でき、多くの文献からキーワードやその頻度を調べ、文学作品の分析に新たな手法を加えるも可能になります。

 2019年、国際共同研究グループ(慶応義塾大学やオックスフォード大学など)は、社会の複雑性や信仰の出現など、曖昧な指標を数値化、ビッグデータを解析した歴史研究をネイチャーに発表して話題を集めました。「神の信仰仮説」に対して、神の信仰は社会的複雑さの増大に先行せず、むしろ後続する傾向が判明したとのことですが、反論もあり、今後、活発な議論が交わされる模様。オックスフォード大などの研究グループは、宗教の起源の問題に続き、農業や戦争の起源についてもビッグデータを用いて解き明かす研究を計画しているそうです。

 月着陸船を打ちあげて宇宙飛行士が月の南極着陸が構想される時代です。様々な分野で新たな研究の息吹が感じられます。山積する諸課題の解決と社会貢献のための文理共創を押し上げていく必要があります。そのためには共同研究の促進や成果の発信が不可欠。国際的なプレゼンスを高め、世界レベルで日本の発展に貢献できる人材を輩出する学校づくりに邁進していこうと思います。