校長ブログ
熱帯雨林の破壊
2021.12.08
トレンド情報
12月8日
生物多様性に富み、世界最大面積(南米7ヶ国を含み、約700万平方km)をもつアマゾンの熱帯雨林が最悪のペースで破壊されているようです。
2018年から2019年中頃にかけて、森林伐採や焼き畑が原因と見られる大火事が発生、青森県に匹敵する面積が焼失したのは記憶に新しいところ。近年の木の大量枯死は、焼き畑と合わせて二酸化炭素を大量に放出する原因となっています。植物はエネルギーを得るために二酸化炭素を利用して光合成を行い、炭素を固定するとともに酸素を放出、あるいは呼吸することによって酸素を消費しています。そのため、アマゾンは二酸化炭素を大量に吸い込み、地球の肺 (lungs of the Earth)と呼ばれるくらいです。
歴史的に見れば、1940年代、ブラジル政府によるアマゾン開発計画がスタート。1960年代、アマゾン縦断道路が建設され、木材伐採業者は商業価値のある木を切り出しました。また、有用でない木は倒して焼き払い、裸地となった森の跡地に農地を開き、広大な放牧地を有する肉牛の飼育牧場に。1970年代後半、大豆開発で成功を収め、その勢いはアマゾンへ向かいます。1990年代からアマゾンは輸出用の大豆栽培のための農業開発地へ。さらに、水力発電所の建設や金鉱山開発などの国家規模のプロジェクト、不法伐採業者などの活動が環境破壊の要因となっています。
2000年代に入って、アマゾン一帯の熱帯雨林を二酸化炭素の排出源に変える可能性が指摘されています。今後、気候変動による旱魃が増加すれば深刻な状況になること必至。ブラジル国立宇宙研究所によれば、アマゾンの森林消失面積は、1988年以降、日本の国土とほぼ同じとのこと。世界自然保護基金(WWF)は、2030年までにアマゾン熱帯雨林の約6割が破壊されると推定しています。
今、乾燥化が進むアマゾンの熱帯雨林に対して、ブラジル政府はアグリビジネスの推進を掲げています。水資源の枯渇は農業にとって死活問題。我々もグローバル・シチズンとして、できうる限り、環境問題に向き合い、持続可能な経済活動に貢献していきたいものです。