校長ブログ
海外EdTech教育:アメリカ
2021.11.12
EdTech教育
11月12日
アメリカの小中高では、ICTを活用することを前提とした教育活動が展開されています。シリコンバレーを中心としたカリフォルニア州でも多くの学校がタブレットを活用し、問題基盤型学習(Problem Based Learning)やプロジェクト学習(Project Based Learning)を含む授業を実践しています。
また、学習管理システム(LMS : Learning Management System)を導入し、教師と生徒、教師と保護者のコミュニケーションをWeb上で行うことがごく当たり前の光景になっています。ネットワークにアクセスするためのアカウントが設定されているため、生徒はiPadからLMSにアクセスし、必要な情報をいつでも見ることができます。校内専のSNS(Social Networking Service)も利用されています。コンピュータ教室には、専門の教員が常駐、30台程度のPCに常に生徒が向かっているのが常です。
科学教育に重点を置いているためか、アメリカには無料で利用することができる公開教材(OER : Open Educational Resources)が溢れています。現在の潮流としては、教材・学習履歴のデジタル化とオンラインコースの導入が挙げられます。公立では、州単位の共通カリキュラムであるコモンコア標準(common core state standards)にそった教科書を使うのが通例ですが、デジタル化が進み、タブレット端末に教育活動をサポートする体制が強化されています。オンラインコースは講義そのものが公開されていますが、実際には個別にビデオ教材を利用する反転授業が流行化し、日本でも話題を呼んだのは周知の通り。一方、「紙」の教科書による授業もまだ多くあります。要はバランス。日本の一部の学校のように、教科によっては、大学の教科書を使ったり、大学の講義の受講を奨めることも多々。公立では到達度の高い学校に自由に出向くことも許可されているそうです。
アメリカでは個別学習(Personalized Learning)という言葉をよく耳にします。これは、従来の画一的な学習方法ではなく、ICTを用いた個別最適化学習(アダプティブ・ラーニング)のこと。これからの中等教育では教科の内容を教えるのと同等、否、それ以上に勉強のやり方を教えることにウエイトが置かれてきます。学習効果を上げるには学習履歴を保存・分析・評価し、"見える化" して教員から生徒へのフィードバックするサイクル構築が不可欠なのです。
ハーバード大、MIT、スタンフォード大、カリフォルニア大学バークレー校といった最難関 の大学に入学するためには共通テストで非常に高い成績をとらなければなりません。大学からはそれに加えて、ハイレベルで専門的な知識をすでに持った生徒に入学してほしいという要望も出ているとのこと。評価する目的が問われ始めているのです。その一助となるのが個別最適化学習の推進であることは言うまでもありません。日米の違いはあるものの、本校でも独自のアダプティブ・ラーニングのシステムづくりに邁進していきたいと思います。