校長ブログ
理論と実践
2021.10.16
カリキュラム・マネジメント
10月16日
哲学の泰斗であり、京都学派の創始者と言われる西田幾多郎氏(京都大学名誉教授)は、理論と実践は表裏一体の関係、つまり、新たな理論は実践の場から生まれ、実践の場から生まれた新たな理論が再び、実践の場で試され、洗練されてゆくと述べられています。中高現場においても同様です。先人から学ぶことは多いのです。
H先生:大学入試改革に伴う研修やセミナー、研究会等に参加すると、新しい指導法が次々と提示され、本当に自分にもできるのだろうかという不安を感じるときがあります。
校長:忙しい中での自己研鑽、敬服するよ。経験だけに頼った仕事しかできないというのではステップアップできないものね。本当にお疲れ様。新しい情報を得れば得るほど、不安になる気持ちはよくわかるな。でもどんなベテランでも同じような経験はあるものさ。
H先生:校長先生のような方でもそういうご経験をおもちですか?
校長:勿論だよ。教師になって何年か経って、校務にも慣れ、学校のことがだいぶ分かりかけてきた頃だったかな... 教科指導についてもっと理論的な裏づけがほしくて様々な研修会や研究会に参加して試行錯誤したけど、行き着いたのは現場がすべて、中高教師は生涯、実践家ということだったね。
H先生:もう少しお願いします。
校長:いつも言っているように、学校の"主役"は生徒なのだから、どんなにすぐれた知見でも目の前にいる生徒のためにならなければ意味がないということ。勿論、大学等の研究機関で発表されたり、海外から持ち込まれた新しい理論を学ぶ意欲はもち続けるべきだけど、現場にフィットするものを取捨選択して、生徒の成長につなげるようなシラバス化と「実践」こそがすべて。また、新しいことにチャレンジするなら経年比較して課題を抽出、改善点も含め、周囲の教員と情報共有することと、担当者の"趣味"にならないよう配慮することだね。
H先生:ありがとうございます。中高現場の教員として立ち位置を再確認できました。
校長:生徒と向き合う姿勢も"生徒ファースト"をベースに、授業ではどのように「思考→判断→表現」につなげているかを検証しつつ、他の先生方と情報共有し、より大きな母集団でいかに生徒に落とし込むかという「同僚性」がポイントだね。その上で、新知見もできうる限り取り入れ、その学校の生徒らしさを発揮できるような取り組みにしていけば、結果的には学問的な裏づけがなされたことにもなり、時代の要請に対応できる具体的なものになっていくのじゃないかな。
H先生:これからも積極的にOff-JTで学び、同僚の先生方とコミュニケーションを深めながら実践を重ねていきたいと思います。
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