校長ブログ

教師五者論

2021.09.01 カリキュラム・マネジメント
9月1日

 教育現場には、昔から多くの先達の名言が残されています。含蓄あるその言葉の意味を考えると、後に続く我々も各々の役割を果たしつつ、常に生徒と向きあい、"魂のこもった"教育活動ができるよう職務に精励していかなければと思います。今回は「教師五者論」についてです。

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N先生:採用試験に受かるまで学習塾の講師と予備校のチューターの仕事をしていました。その時、「五者」(学者・役者・芸者・医者・易者)という言葉を初めて耳にしました。「五者」といっても捉え方は様々なようですが、校長先生はどのようにお考えですか?

校長:「五者」は昔からよく言われてきた、よき教師になるためのキーワードだね。多少の経験から言わしてもらえば、教育に携わる者は、目の前の生徒を指導する機会(一期一会)をいただいたことに感謝し、成果を求めるよりも生徒とともに「成長」を求め続けることが大切であり、それが結果的には成果につながるということ。「先生」と呼ばれる以上、礼節をわきまえ、生徒や保護者から尊敬されるよう努力するのが「教育者」の基本だと思うよ。

N先生:ありがとうございます。では「成長」を求め続けるために何に留意したらよいのでしょうか?

校長:そうだね。「五者」の「学者」(or 研究者)で言えば、OJTを通じて多様な指導に挑戦してみることは勿論だけど、それがどのような理論に裏打ちされていくのか、じっくり教材研究して″学問″を教えるプロフェッショナルになれるよう心がけてほしいね。

N先生:はい。頑張ります。

校長:教師の仕事は、生徒理解に始まり、生徒理解に終わるもの。生徒が成長していく前提条件は元気で健康であるということ。その意味で、担任教師は生徒にとっていかなる不安も取り除ける「医者」であるのと同時に、よき理解者であり、生徒を一目見ただけで心理状態まで見抜き、適切な言葉かけができるよう修練を積まなければならないと思うよ。私も含めて一生勉強だね。

N先生:自分はまだまだですが、一生懸命やらせていただきます。

校長:「易者」で言えば、やはり生徒一人ひとりに夢ある未来を語れる教師になること。よく「子どもは未来からの贈りもの」と言われるけど、人は誰もが無限の可能性をもっているわけだから、生徒の発達段階をふまえ、個性を尊重した道を示すことが不可欠だね。学習指導面においても客観的データに基づき、改善に向けての方向づけや大学入試改革など、最新情報を集め、常にフィードバックしていく姿勢もお忘れなく。

N先生:努力していきます。「役者」「芸者」についてはどうですか?

校長:「役者」「芸者」というより「演技者」、いや「サポーター/ファシリテーター」といった方がよいかもしれないね。学校の主役である生徒があらゆる面で成長していくにはなんといってもモーティベーションがすべて。その仕掛けづくりこそが教師の腕の見せどころではないかな。やる気を引き出すのはなかなか難しいけど、学校という舞台で生徒たちと苦楽を共にし、個々の興味・関心に応じて長所を伸ばし、感動を与えられる演出を工夫することが肝心だね。

N先生:ありがとうございました。たいへん勉強になりました。