校長ブログ
人口減少の中で...
2021.08.04
トレンド情報
8月4日
人口減は深刻な問題です。総務省(2020速報)によると、日本の総人口は5年前に比べ0.7%減の1億2622万6568人。国別に見えと、日本は世界11位となり、戦後初めてトップ10から陥落しました。加えて、人口の自然減の一部を補完してきた外国人も新型コロナ感染拡大に伴う入国制限によって大幅減、結果、人手不足に陥る企業が続出、ダメージに一層拍車がかかっています。人口減少は労働力減少につながり、成長や社会保障の障壁になります。
1950年、日本の人口は8411万人で世界5位でしたが、その後、インドネシアやブラジルなどの新興国が台頭し、日本を上回りました。今後もエチオピアやフィリピンなどの国々が日本を追い抜くと予測されています。ちなみに、国別では上位3位の中国、インド、米国は増加、上位20カ国の中で減少したのは日本だけです。
生産年齢人口(15~64歳)で見ると、5年前に比べ、4.2%減と大きく落ち込んでいる日本が目立ちますが、台湾、韓国、中国と東アジア各国・地域も減少しています。日本と同じように、少子化が進み、働き盛りの年齢の人口が落ち込んだためです。その意味で、人口減が進む日本はアジア各国の近未来の姿とも言えます。
先進国では出生数が減っているという問題もあります。国連によると、先進国の人口は約13億であり、1950年以降増加していますが、晩婚化や女性の社会進出を背景に出生数が減少する国が増えており、人口や労働力の低下につながるとの懸念もあります。ちなみに、日本では、2019年に約87万人と過去最低だった出生数が2021年には70万人台まで減少すると推定されています。(第一生命経済研究所、日本総合研究所)
出生数の低下は需給両面で世界経済に影響をもたらし、雇用情勢にも影響を及ぼします。今、多くの企業がシニア人材に着目、例えば、50歳以上の社員限定で副業を全面解禁、60歳以上のシニア社員を対象に成果主義を導入し、モチベーションの維持を図るなど、様々な取り組みを始めています。バブル期に大量採用された世代が現在、50代となり、益々、シニアの割合は高まります。改正高年齢者雇用安定法が施行され、70歳までの就業機会を確保するよう努力義務が課せられる中、定年延長や廃止を決める企業が増加、シニア社員の能力を引き出す取り組みが求められているのです。
"人生100年時代"と言われる昨今、老若男女を問わず、社会全体が力を合わせてやっていかなければなりません。日本は長年、年功型賃金が多くを占め、若い時は安価、ベテランなるほど給料が増え、再雇用されると給与が激減するという状況でしたが、今やその"神話"が崩れようとしているのです。DX化に対応する教育など、生産性を高めることにつながる方策は中高現場でも考えなければならないことなのです。