校長ブログ

新しい時代の教育創造に向けて

2021.08.14 トレンド情報
8月14

 元号である「令和」という言葉は、日本最古の歌集「万葉集」の"梅花の歌"から採用され、未来への希望と共に、国民1人ひとりが大きな花を咲かせるという願いを込めて選ばれたそうです。英語では「令」がbeautiful、「和」がharmony、併せて beautiful harmony(美しい調和)と訳されています。

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 昭和の時代、"ニッポン株式会社"は、戦後の荒廃から立ち上がり、努力につぐ努力を重ね、奇跡的とも言える成長を遂げ、モノつくりにおいて"メード・イン・ジャパン"と高く評され、"ジャパン・アズ・ナンバーワン"を謳歌しました。しかし、働けば裕福になるという"神話"は終焉を迎えます。

 平成は、冷戦が終結し、国際秩序を主導する「Gゼロ」とも言える時代であり、バブルがはじけ、企業はその対応に追われました。結果、1990年代後半にはデフレスパイラルを招き、市場構造が変容したのは記憶に新しいところです。バブル経済の崩壊とともに始まった平成の約30年間は、低成長であったものの、平和と安定の時代であったこともまた史実。時は流れ、ネットが普及、デジタル革新の時代が到来します。しかし、多くの企業は昭和の高度成長の成功物語から脱しきれず、時代の潮流に乗り遅れ、新興国に追い上げられ、経済は低迷、世界の中での存在感も低下した感は否めません。「量から質への転換」も世界はそれ以上のスピードで動いていたのです。日本が「課題先進国」と言われる所以です。

 新時代の日本の成長を牽引し、豊かにするグローバル戦略は、先端技術を駆使したイノベーションに向けて、チャレンジする領域・分野をどのようにインセンティブをつけて創っていくかということ。山積する課題解決を目途に、生産性を高め、経済拡大の好循環を生み出すことが少子高齢化を克服する唯一の道です。人口減と高齢化が進む中、自動化できる仕事はAIに任せ、人生のイニシアティブは各自でセレクト、個の創意工夫が共鳴しあい、互いの可能性を引き出すことが基本線であり、「働き方改革」にも対応します。

 求められる人物像は、個々のアイデアを具現化するために、突き詰めて考え、探究し、そこから何が出てくるか見極めて前に進むスピリッツを有する方。イノベーション論で著名なハーバード大学のクレイトン・クリステンセン教授は、金融市場の評価に捉われすぎず、将来への投資の必要性を述べられていますが、人を適材適所でうまくコーディネートして、より付加価値の高い仕事に専念できる仕事のしくみづくりや新しい文化創造が焦眉の急、大人の役割です。健全なリスク管理と直面する難題に立ち向かう強い意志が未来を拓くのです。シンガポール建国に尽力したリー・クアンユー元首相は「人も国家も逆境や悲劇に立ち向かうときに未来への工夫が生まれる」と述べられています。

 教育においては、文理融合による教科横断だけでなく、芸術も包括したSTEAM教育(Science, Technology, Engineering, Arts, Mathematics)が標榜されています。「改革元年」の本校においても令和を代表する学校づくりに着手、時代の要請に応える教育実践に邁進していきます。