校長ブログ

国語力はすべての学びの土台です!

2021.08.11 教科研究
8月11

 国語力がすべての教科に共通する土台であることは自明ですが、同時に、論理力を強化することも意識しておかなければなりません。論理力とは筋道をつけて考えられる力のこと。その意味で、知識を身につける力と論理的に物事を考える力を育成することができれば国語力が向上し、他教科に応用できます。分野を問わず、学問の土台を探究してきたソクラテスやプラトンなどの哲学者は、学びの基礎となる言語を鍛える重要性を明示しているくらいです。

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 来年から高校国語は必修科目「国語総合」が2科目に分かれ、評論文や実用文を読んで表現力などを磨く「現代の国語」と文学や古典に触れて日本語の理解を深める「言語文化」に再編されます。

 幸田国広氏(早稲田大学教授)は、2018年度の学習到達度調査(PISA)で日本の15歳の読解力は参加国・地域中15位と過去最低であった状況を踏まえ、「話す・聞く・書く」という学びが不十分なままの現状を変えることを強調されています。野矢茂樹氏(東京大学名誉教授、立正大学教授)は、日本語を論理的に使える能力を育て、鍛えていくことの重要性を説き、論点を整理し、根拠と結論の関係を明確に言葉にできるようになるには国語力が不可欠と述べられ、国語教員にも英語教員が構文を教えるように語学としての日本語を教えてほしいと言われています。現在、SNSなどのソーシャルメディアを通じ、短い一言が広がっており、言葉が弾片化してしまった感は否めませんが、正しい日本語を使える指導法構築は必須です。

 大学入試も変容しつつあります。早稲田大(政経)の「総合問題」の国語では複数の図表やグラフを用いた長文を読んで解答する設問が出題されました。一部の地方国立大でも国語試験で複数のグラフと新聞の社説をもとにして資料の読解や意見を述べさせる問題が出題されています。

 歴史的に見れば、1960年代前半、「現代国語」が新設されるまで、高校国語と言えば、古典に終始する教員が多かったのも事実。しかし、高度経済成長期が到来し、変化が生まれ、評論や小説も学び、時代に対応する読み、書きの力が求められるようになりました。

 今回の学習指導要領の改定に伴い、高校現場では、国語科の専門性が生かしにくくなる可能性があり、ひいては学びの質が低下するのではないかと懸念する声もあります。本校の教育実践においては、不易流行を見極め、"生徒ファーストの進路満足度100%"を合言葉に個々の成長実感に資する取り組みを行っていきたいと思います。