校長ブログ

環境問題を考える

2021.07.10 トレンド情報

7月10日

 現在、100万種に及ぶ動植物が絶滅の危機にあり、かつてないスピードで生態系の喪失が進んでいます。世界の陸地の約8割が大幅改変、湿地の約9割が消失、海洋の約7割が人間の活動の影響を受けています。温室効果ガスの排出量は倍増し、地表の温度は0.7度上昇。また、プラスチックゴミの汚染が1980年以降、10倍になり、重金属や溶媒などの産業に起因する廃棄物3~4億トンが毎年、水系に流れ込んでいる等々、課題は山積しています。結果、種の絶滅は深刻なものとなっています。過去1千万年の平均と比べ、絶滅速度は数10〜100倍、陸上の50万種は生息地が脅かされているとのこと。人は自然から食料や薬、燃料を得ていますが、今や暮らしを支える様々な自然の恩恵が損なわれているのです。

7.jpg

 国内では、2010年、COP10(生物多様性条約第10回締約国会議)が定められ、その大半が達成できないのではないかというネガティブな見方もありますが、2020年までには少なくとも陸地の17%、海域の10%を生物保護区に指定することや絶滅危惧種の保護と絶滅防止などを掲げた「愛知目標」というものを設定するなど、様々な取り組みが見られました。

 EU(欧州連合)は、災害や貧困の要因でもある地球の温暖化にブレーキをかける試みとして、2050年までにCO2など温暖化ガスの排出を実質ゼロにしようという取り組みを始めています。ドイツは2020年のCO2排出削減目標の達成が難しく、フランスに比べて気候変動問題への対応が遅れていると指摘されてきましたが、首相が「達成できるかどうかではなく、どう達成できるかを話し合う」とコメントしており、ポジティブな取り組みが期待されています。

 温暖化ガスの排出ゼロに向けて、日本では2070年頃までに再生可能エネルギーや原子力を活用する他、安価な水素の製造やCO2を回収、資源として活用する技術開発を掲げています。技術的な検証も含めて、克服すべき課題はありますが、中高現場としては、生徒が考察すべき内容を精査して、背景知識の強化に役立てていきたいと思います。