校長ブログ
新しい時代の国立大学
2021.07.16
大学進学研究
7月16日
大学の機能と言えば、教育、研究、社会貢献等が考えられますが、特に、研究を重視する大学は研究大学と呼ばれます。
海外の先端的な研究大学と言えば、ハーバード大やマサチューセッツ工科大が想起されますが、米国では産学協同に向けて、ボストンの「バイオテック・クラスター」に多くの企業が集まり、日々、技術革新が進められています。近年では、感染症、気候変動、貧困など、地球的規模の課題にも大きく貢献をしているそうです。
東北大学学長の大野英男氏は、研究大学は「成長する公共財」になるべきだという立場をとられています。これは、法人としての自由度を高め、さまざまな取り組みを拡張して社会に貢献、成果の価値化を図るというもの。そして、その過程で資金と人を集め、基礎分野も含めた研究の卓越性を実現することで、世界の研究大学と比肩するレベルにしようという目標があります。
同大学は、東京ドーム17個分のキャンパス整備において、資金を調達、農学・環境科学の大学院、災害科学国際研究所などがある課題解決型キャンパスを完成させ、次世代放射光施設も建設中とのこと。さらに、「大学院大学」や「研究開発機構」を創設しています。
海外に目をやると、シカゴ大は約10年前、工学系学部・研究科の新設し、潤沢な資金で第一線の研究者を集め、分野横断的に山積する課題に立ち向かうスクールに発展しています。このようなダイナミックな大学改革を日本で実践する場合、規制緩和が不可欠。経営の自由度を高め、入学定員の外枠で優秀な留学生を受け入れられるようにし、その分の授業料を自由化するといったことが求められます。
当然、それにはリスクが伴うものの、自由度を高められた研究大学にとって必要なのは、多様なステークホルダーとの信頼関係の構築に向けたエンゲージメント型経営と新たなガバナンス体制。クオリティーの伴う研究の価値を生み出すための努力はすべての教育機関の共有事項なのです。