校長ブログ
英語の音読
2021.06.24
教科研究
6月24日
ある教員から「教科書の本文暗記が重要なのはわかるのですが、中1秋くらいから暗記が苦手と言って行きづまりを感じる生徒が増えてきます。音読が大切だと思うのですが、教師が発音した後、生徒がリピートするといった繰り返しではマンネリ化するだけでなかなか定着しません。放課後の空き時間を使って、英語の苦手な生徒2〜3名に音読指導しようと思うのですが、モチベーションを維持するという点も含めて、何かよい方法はありませんか」という質問を受けましたので、拙い経験をお伝えします。
音読と言っても教師が発音した後、生徒がリピートするlisten & repeat、教師の発する音声に合わせて生徒が音読するパラレルリーディング(オーバーラッピング)、本文の単語に( )をつけ、その空所を埋めながら全員またはペアで音読するクローズリーディング、生徒が本文を黙読後、顔を上げてするread & look upなど、様々なアプローチがあり、学力到達度、クラスサイズなどに応じてバリエーションをつける必要があります。
ここでは、ディクトコンポ(dicto-comp)を通じた気づき(Awareness)という事例をあげておきます。ディクトコンポとは、数回音読されたまとまった量の英文をできるだけ正確にノートに再現するというディクテーションの一種のことです。
具体的な方法としては、1回目の授業でターゲット・センテンスを含む教科書1ページ、もしくは数ページの内容を把握させ、その後、read & look upとペアワークによるシャドーイング(耳から聞こえた音声をテキストや原文を見ずにそのままリピートすること)を行います。英文に慣れ親しむのと同時に、新出文法についても問題集を使って口をついて出るまで演習を繰り返します。シャドーイングの際、生徒の到達度に合わせて新出単語や難単語を予め板書しておく配慮も必要です。生徒の声が出ないときは、モデルリーディングで感情移入するなど、リラックスした雰囲気で発話できるよう工夫しましょう。
宿題としてクローズリーディングシート(本文の単語に空所を設け、その空所を埋めながら音読する活動。内容語、機能語を空所にするなど、目的に応じた作成が必要)を配布し、自宅で毎日、練習してくるように指導します。到達度に応じて毎日10回というような具体的な指示をした方がよい場合もあります。
次の授業では、本文全体を音声のみで2度聴かせ、生徒はノートにディクトコンポします。英文は教師が発音してもよいし、CDを使ってもかまいませんが、苦手意識を持つ生徒が多い場合、教師の肉声で、反応を見ながらスピードを調整した方がよいでしょう。進度を焦ってはいけません。"主役は生徒"です。生徒の反応を見ながら授業を進めることが肝要です。
例えば、英語が苦手という生徒3人を放課後に個別指導する場合、教師が発音した後、生徒がディクトコンポ、ノートを持ち寄らせグループバージョンを作らせます。続いて、1文ずつ板書してもらい、皆でチェック、3人で本文全体の復元を完成させると勉強へのきっかけづくりになります。教科書本文を何度も書いて暗記する、問題集を大量にこなすだけでは、生徒も飽きてしまいますから指導方法には配慮と工夫が必要です。このような取り組みは、生徒同士、生徒と教師が協同することによって、4技能を同時にトレーニングするだけでなく、"気づき"を促す効果があることも付け加えておきます。笑顔、褒め言葉、けじめを忘れず頑張ってください!
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