校長ブログ
イシガメ・プロジェクト
6月5日
本校にはニホンイシガメを専門的に研究している「イシガメ・プロジェクト」があります。顧問は理科がご専門のN教頭。校内にも20数匹のいろいろなカメがおり、お話を聴かせていただく時間はとてもたのしいものです。
現在、私たち「(仮)カメら部」は神戸市立相楽園の池をフィールドにして、ニホンイシガメについて調査しています。きっかけは、神戸市立須磨海浜水族園の市民参加型調査です。2010年9月から神戸市内の池で捕獲調査を始めましたが、ミシシッピアカミミガメやクサガメばかりで、日本固有種のニホンイシガメとほとんど遇うことができず、生物多様性が維持できていないことを実感しました。 そこで2011年から、元須磨海浜水族園・園長で岡山理科大学生物地球科学研究科動物自然史研究室の亀崎直樹先生にご指導いただき、相楽園の日本庭園の池に、須磨海浜水族園に提供していただいたニホンイシガメを導入して保全が可能かどうか追跡調査を行っています。また、ニホンイシガメの行動についての研究に協力しています。 一方で、神戸大学大学院人間発達環境学研究科の源利文先生にご指導いただき、ニホンイシガメの環境DNAの検出の実験を行っています。水中の環境DNAの季節変動に引き続き、現在は池の泥中の環境DNAの検出と定量に挑戦しています。将来的には、決まった季節に水や泥を採取することでニホンイシガメの存在や個体数の推定ができればと考えています。 近年では、ミシシッピアカミミガメなどの外来種によって日本の様々な在来種が生息域を狭め、減少し続けています。また、サンショウウオやニホンイシガメのように外来種との交雑により、遺伝子の攪乱が生じている例もあります。この活動を通して生物多様性の維持の大切さと難しさを知ることができました。今後、準絶滅危惧種に指定されているニホンイシガメの生育環境がよくなり、絶滅の危機から救うことができたらと思います。 |