校長ブログ
AIも活用法次第!
2021.06.25
トレンド情報
6月25日
AIによるビッグデータ解析は、日常生活に大きなメリットを及ぼす一方で、使い方によってはデメリットにもなることもあります。
カーネギーメロン大学(米)は、AIを活用して自ら志願した学生を24時間、追跡することで、うつ病の兆候を85%の確度で検出できたと発表。行動履歴や会話のパターンを追いかけることによって、予測可能になったそうです。大学生の約3割がうつによる変調を経験しており、悪化すると学業不振だけでなく、退学や引きこもり、自傷にもつながるとのこと。データサイエンスによって、抑鬱症状を早い段階で感知できるので、重大事案を回避することができます。
アメリカのハイアービューは、スマホ等を経由した遠隔面接システムで、相手の言葉や話す速度から学習意欲やチーム志向の度合いを算出するサービスを展開しており、日本でもメガバンクなどに採用が広がっているとのこと。AIを活用した進展は目覚ましいものがあります。
しかし、デメリットもあります。顔認証AIがその事例。AIの精度が低く、誤認逮捕される事案も報告されています。EUが公表したAIの規制案では、法執行を目的とする公共空間での顔認証は禁止の対象となっており、企業のAIを活用した採用選考も「ハイリスク」のカテゴリーに分類されています。
また、AIが客の買い物履歴を分析し、妊娠した女性が特定のサプリや無香料の石鹸などをよく買うことを発見、顧客の中の妊婦に紙おむつなど赤ちゃん用品のクーポンを送り始めた結果、その中に女子校生がおり、父親を激怒させますが、妊娠していたことが発覚したという事案もあります。これはデータの方がデリケートな事実を察知したという皮肉なケースとなっています。
AIは一見、客観性・妥当性・信頼性が高いように見えますが、学習するデータセットの偏りやアルゴリズムの作成者の思い込みによって、一部、トラブルが生じているのもまた事実。近い将来、より精度の高いAIが登場するのでしょうが、現段階ではその域にまで達していません。心すべきは、人間とAIの協働。互いの弱みを補完しながら生産性のある取り組みを模索するしかありません。チェスの世界では、1997年、IBMのマシンが人間のチャンピオンを破りましたが、今では協働してより高いレベルをめざしています。つまり、AIに依存するのではなく、ツールとして活用しているのです。AI時代が来ても″主役は人間″です。