校長ブログ

SDGsの担い手

2021.05.01 トレンド情報
5月1日

 新学習指導要領には、2030年までの国際目標として「持続可能な開発目標(SDGs)の担い手」となることが盛り込まれ、「一人一人の児童が、自分のよさや可能性を認識するとともに、あらゆる他者を価値のある存在として尊重し、多様な人々と協働しながら様々な社会的変化を乗り越え、豊かな人生を切りひらき、持続可能な社会の創り手となる」ことが求められています。これは、産業革命以降、人間の活動が急速に活発化したことにより、経済・社会の基盤となる地球の持続可能性が危ぶまれていることに起因するものです。SDGsは17のゴールと169のターゲットから構成されており、今後、世界規模での取り組みが期待されています。

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 SDGs総研(先端教育機構)は、地域での取り組みについてアンケート調査を実施しています。対象は日本全国の約1,800の自治体であり、回答を得た約500のうち約8割が「取り組んでいる」「実施検討中」とのこと。具体的には地域活性化、未来ビジョン、企業誘致を模索する一方、目標設定、指標、人材不足といった実務上の課題を挙げる回答も多くあった模様。今後のテーマとしては認知・関心を高め、実働に繋げていくとのこと。人口減少時代を迎え、補助金・助成金制度の活用に加え、住民のQOL(生活の質)向上、定住人口の増加策も構想されています。

 歴史的に見れば、1972年、マサチューセッツ工科大学の国際チームによって発表された「成長の限界」では「人口増加や環境汚染などの現在の傾向が続けば、100年以内に地球上の成長は限界に達する」というショッキングな提言がなされました。1987年、「環境と開発に関する世界委員会」による報告書「我ら共有の未来」(Our Common Future)ではSDGsの概念が提唱され、2000年、国連ミレニアム・サミットにて「ミレニアム開発目標」を採択。ここでは2015年を目標として8つのゴールを設け、加盟各国がその達成に向け努力することが確認されました。2012年、「持続可能な開発会議(リオ+20)」にて「我々が望む未来」(The Future We Want)が発表され、「ミレニアム開発目標」に SDGsを統合することが決定、2015年9月の国連サミットでSDGsが採択されるに至ったという経緯です。 

 文科省は、子供たちを "誰ひとり取り残すことなく"、公正に個別最適化された学びを持続的に実現させるべく、GIGAスクール構想 (Global and Innovation Gateway for ALL) を立ち上げました。当初の予定では、2019年、児童・生徒の情報端末及び高速大容量の通信ネットワークを整備し、2023年までにすべての小中学校でパソコン「1人1台」の環境が整備されることになっていました。しかし、新型コロナウイルス感染拡大を見据えて前倒しされました。

 中央教育審議会において、「2040年の姿」として「誰ひとり取り残さない」(No one will be left behind.)という考え方が示されています。地球規模で考え、身近なところからの取り組み(think globally, act locally)を始めることによって持続可能な社会を創造する「持続可能な開発のための教育」(ESD)が標榜されています。誰もが平等に教育を受け、それぞれの能力を最大限に発揮できる社会の実現に向けて、我々もできるところから始めていこうと思います。

[参考]2020年度、小学生の理科や算数等の教科でプログラミング教育がスタートしました。中学生は、2021年以降、「技術・家庭」の中で、高校生は「情報」が必修科目として新設され、大学入試でもプログラミングなどの情報科目や、パソコンで試験を受けるCBT(Computer Based Testing)の導入が検討されています。GIGAスクール構想では、「将来どのような職業に就くとしても、時代を超えて普遍的に求められる力としてのプログラミング的思考や自分の考えを伝えるプレゼンテーション・スキルなどを育成する」重要性が明示されています。本校でも「1人1台」が可能になり、ICT・AI教材を用いたEd-Tech教育が実現しており、現在、そのシラバス化に向けて、研究・実践が進められています。