校長ブログ
子供の体力
2021.05.29
トレンド情報
5月29日
コロナ禍で、子供の運動量が減っており、体力低下が懸念されています。コロナ禍以前の全国体力テスト(2019、スポーツ庁)で子供の体力低下の傾向が表れていたのは教育関係者なら周知のこと。テレビ、スマートフォンなどのスクリーンタイム(ST:画面視聴時間)の増加に伴い、子供の生活時間や身体活動の量と質に変化があるのは自明です。
中野貴博氏(中京大教授)は、コロナ禍で子供の運動量が減っており、その影響は運動が苦手な子供ほど大きく、体力の二極化が進む可能性があると言及されています。また、子供の体力・運動能力が近年、若干の改善傾向を示していたものの、全国体力テスト(2019)で再び低下傾向へ転じたのは前述の通りであり、STの増加を追認。加えて、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う学習活動や身体活動の制限によって、在宅時間が長くなり、さらにST増加による運動量の低下、生活習慣の乱れが想定されることなども付言されています。
子供の体力・運動習慣とST、コロナ禍の中での生活の変化に関する同氏の調査では、最も長いのはテレビ・ビデオであり、6年生になるとスマホが肉薄するとのこと。STの合計時間の平均は、2年生(男子:164.5分、女子:127.4分)、4年生(男子:178.3分、女子:154.5分)、6年生(男子:224.5分、女子:194.1分)と学年進行とともに増加しています。
STに占めるスマホとタブレットの割合をみると、2年生では全体の5割前後、4、6年生では6割前後となり、いずれも女子の方が高く、体力低下も女子の方が目立っています。コロナ禍における生活の変化については、「友達との交流の減少」(45.1%)、「体力の低下」(26.4%)、「不安やイライラの増加」(16.3%)、「生活時間の夜型化」(12.2%)となっています。
STの増加と体力・運動能力や運動嗜好との関係について、体力評価が良好な児童ほどSTは短い傾向にあり、全体では、スポーツ庁の新体力テストの5段階評価で高い方のA・B群と低いD・E群との差はわずか7分程度とのこと。
子供の体力・運動能力については、全体的に低下傾向にあるものの、二極化の傾向を示しており、それをコロナ禍が助長している可能性が高いとのこと。中長期的に見ても運動量や体力、さらには学習面でも悪影響は明らかです。子供にとって運動や外遊びは友人との人間関係構築の基礎となるだけに不安要因です。
学校教育がめざすものは知・徳・体のバランスのとれた力、則ち、「生きる力」の育成です。そこから学ぶ意欲が生まれ、知識・技能を身につけ、それらを活用して考え、判断して表現できる力が「確かな学力」につながるのです。学校をリードする者の一人として、心して取り組みたいと思います。