校長ブログ
グローバル教育と学びの選択
2021.05.15
グローバル教育
5月15日
新型コロナ感染症拡大の影響もあり、大学での遠隔授業が活発化しています。これまでの状況を振り返ると、様々な利点と指導者の工夫により一定の評価を得た格好。今後、各大学のグローバル教育のユニークな取り組みと連携が期待されるところです。
上智大学の曄道佳明学長は、学びと教育の自由度が高まり、グローバル教育の幅が広がると指摘されています。自由度には、学生主体の柔軟な学びの選択に加え、キャリア形成の多様化も含まれます。学生の自由度に比例して、当然、教員も自由度は増します。例えば、海外で行っている研究の一端を題材とし、授業配信すれば、サバティカル(研究休暇)中に限らず学期中でも研究活動を行いながら教育への還元も果たせるといったことが可能になります。
遠隔授業の一例として、注目を集めているのがCOIL型教育。日本語にすると、海外連携型協働学習ということになります。2006年、ニューヨーク州立大学により名称提案、当初は、経済的理由で留学できない学生にグローバルな学びを提供する手法として発展してきました。内容的には、教員同士が協働して授業をデザイン、学生はグループワークによるディスカッションを通じて多様な学びを深めるといったもので、文科省が大学の世界展開力強化事業の一環として支援しています。
上智大学には「国際看護学」という科目があり、米国、モンゴル、タイの大学と結んだ授業を展開、各国の混成グループによるブレークアウトセッションなどを行っているとのこと。また、「国際教育開発学」では担当教員が米ロヨラ・メリーマウント大学の授業との連携を、「日本美術史」では米モンタナ州立大学の舞台照明を専門とする教員との協働を進め、国際的で能動的な学びの場を日本にいながら得られる環境を作り上げています。
グローバル教育で重要なのが国際的通用性。これは内容、教授力、学力、言語運用力のことであり、日本の高等教育に対する海外からの信頼性を左右する要件となっています。遠隔授業については、単位数上限の規制緩和など、より柔軟な授業設計が必要とされています。パンデミックがもたらした不連続な変化という困難に立ち向かう時代の担い手としての育成も踏まえ、本校においても時代の要請に対応する教育実践に取り組んでいきたいと思います。
[参考]学研エデュケーショナルの調査(2020、対象は全国の児童ら計約11万人)によると、学年が上がるにつれて学力テストの正答率が下がる傾向があるとのこと。小学校低学年の国語と算数はともに満点に近いものの、進級すると低得点層が形成され、高学年は科目とも正答率80%を下回っていくそうです。特に小5の算数の正答率が63.8%と最も低く、概数の知識や図形の応用が苦手という結果になっています。