校長ブログ

金融教育

2021.05.14 教科研究
5月14日

 新学習指導要領では、金融教育について、2020年度は小学校、2021年度は中学校で全面実施され、金銭管理や消費者の役割などが盛り込まれています。高校では2022年度から学校判断で実施、預貯金、投資信託などの金融商品の特徴や資産形成を教えることになっています。

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 家計管理や複利の知識、投資のリターンとリスクの関係などについて問う「金融リテラシー調査」(2019、金融広報中央委員会、対象は1879歳の25,000人)を見ると、日本の金融リテラシーはあまり高くありません。

 今や電子マネーなどのキャッシュレス決済が普及し、現金でやり取りしないため、金銭感覚が身につきにくいなど、子供を取り巻くお金の環境が大きく変化しています。課題として、お金はいくらでもあると思っている、電子マネーはお金だと認識していない、ネットで課金ゲームをする、小遣いをいつも一度で使いきるなどが指摘されています。専門家の多くは、現状を鑑みて、小遣いは現金からとし、お金の大切さや使い方を教え、社会や経済に関心をもつきっかけとすることを奨めています。

 その場合、買う物、例えば、小学生なら少額のおやつや文房具、中高生なら友人と出かける際の交通費や飲食代、衣料費といった想定できるものから大まかな予算を決めることが第一歩。ちなみに、1ヶ月の平均は小学生1,507円、中学生2,298円です。(2019、バンダイ、対象は小中900名の保護者)

 お金を有効に使うためには、何にいくら出費するのかという目安を立て、柔軟に対応しつつ、振り返りをすることが大切。ここでもPDCAです。お金を使ったらレシートを保管、手帳に記録し、予定通り使えたか確認したいもの。同時に、不必要な買い物はなかったかなど、振り返りを行うことも身につけましょう。電子マネーを使うのは現金での管理に慣れた次の段階ですが、定期的に明細をチェックするというPDCAサイクルは同じです。  

 最近では、身近なお金の管理に加えて、経済や金融の仕組みも学べる教材が増加しています。例えば、対戦型カードゲーム「エコノミカ」(金融知力普及協会)のように、「日本株」「預金」「ゴールド」といった資産を表すカードを持ち、「円高」「資産インフレ」などの出来事のカードで資産カードの価値を上げる、下げるなどして、楽しみながらゲーム感覚で学習できるものが開発されています。

 子ども向けセミナーも開催。ほぼ毎月、小学生向けにオンラインで開催される教育「こどもトラストセミナー」では、消費・貯金・投資・寄付といったお金の役割をオンラインなどで学習できます。株式会社の仕組みを理解するためにはよい経験になります。東証のHPには小学生から中学生を対象に「なるほど!東証経済教室」というコーナーが開設されており、会社は何のためにあるのか、株価はどう決まるのかなどを解説しています。

 2020年度からは18歳が成人年齢となり、自分のことは自分で責任をとらなければならなくなり、自己責任に対する説明責任が要求されます。生徒諸軍には、金融教育を通じて、ネット販売での個人情報の管理やクレジットカードを利用する際の留意点など、実社会への階段を一歩ずつ昇っていってほしいと思います。