校長ブログ
WITH/AFTERコロナと大学
2021.04.06
トレンド情報
4月6日
海外の大学がWITH/AFTERコロナを見据え、対面授業の本格再開を模索しています。イギリスはクラスター防止に向けて、検査を徹底。アメリカでは政府が全国民へのワクチン確保を確約した上で、秋からの対面授業へ移行する計画を打ち出すといった具合です。
イギリスは、昨年、秋学期から対面授業を再開した後、学内でクラスター発生、1週間で1万人近くの学生が感染するという事態に直面しました。現在、再開に際し、短時間で結果が出る週2回の検査を実施することを表明していますが、すべて対面にすることについては慎重論も多いようです。アメリカでは、5月末までにワクチンが国民全体に行き渡るという大統領の表明を受け、秋学期から対面授業の実施を計画する大学が増えているとか。
オンライン授業は、一人で学習するという孤立した環境であり、課題も山積。例えば、イギリスでは大学生10人に1人の割合でインターネット環境が不十分、さらに約2割が十分な学習スペースもないという状態です。(サトン・トラスト)また、オンラインと対面の授業が同額であるという学費に対する不満もあり、返金を求める嘆願書に署名した数は35万名以上にも昇るそうです。
日本の大学でも対面授業へのシフトが増加傾向。受講者が多い講座では一部、オンライン授業を行うものの、大半の授業は対面で行うことを発表。文科省は感染対策を徹底した上で対面拡大による学生主体の教育活動を求めています。オンライン授業と言えば、その先駆は通信教育ですが、1998年にはオンラインでの授業が法令上可能になり、受講者も大幅増。しかし、やはり課題は質保証と体制整備です。学生が本当に受講しているのかという本人認証による視聴確認の問題と教員が学生個々の理解度を確認し、学生が質問・相互交流できる双方向性確保という問題が残されています。
世界の動きは、現行の教育システムでは追いつけないほど、加速しています。アメリカでは、デジタル時代に続く量子時代の到来に備え、本来なら大学で学ぶ量子技術に関する知識を中高生に指導し、次世代テクノロジーに直結する人材を育成しようとしています。WEF(世界経済フォーラム)は、2025年までに自動化で8,500万人の雇用が機械に置き換わる一方、9,700万人分の新たな仕事が創出されると分析していますが、コロナ禍で経済的に余裕がある層は教育への先行投資を惜しまず、これが賃金格差を生み出す要因となっているのもまた事実なのです。