校長ブログ
不器用なロボットって?
2021.04.12
トレンド情報
4月12日
SFに登場するロボットは100年以上も前に誕生し、万能でパワフルなイメージですが、1999年に開発された犬型ロボットAIBO(ソニー)などは「弱いロボット」と称され、何か特別な仕事をするというよりはむしろ、"癒やし"を与えてくれるような存在と見なされている感があります。
AIを基盤とする最先端技術の進歩は日進月歩。AIBOのように、存在そのものに価値を見いだすロボットは、カメラやセンサーが反応し、ほんの一言、二言話しかけてくれたり、手を差し伸べたいと思わせてくれるのが特徴。人気の理由は、高齢化や都市化で一人暮らしが増加したこと、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う仕事のリモート化や休校措置による孤立化が考えられますが、それだけではないようです。
パナソニックと「ニコボ」を共同開発した岡田美智男氏(豊橋技術科学大学教授)は、優秀なロボットになるほど、人は要求をエスカレートさせ、弱いロボットになるほど他者への関心やいたわりの気持ちを持てるようになると述べらています。同氏らは、カーナビの音声に代えて、運転席の近くに置くと、球形で2つの目だけで進行方向を示したり、歩行者がいることを知らせる「NAMIDA(ナミダ)」を開発していますが、その″頼りなさ″ が運転手との一体感を生み、好評とのこと。また、「LOVOT(ラボット)」を開発した林要氏(GROOVE X社長)は、開発の目的として「持ち主の優しい気持ちに寄り添う」と言及されています。つまり、弱いロボットは、注文や命令だけに従うだけでなく、最先端技術を駆使したエッセンシャルワーカーとしての存在意義を増しているというわけです。
AIやロボットなどの最先端技術は使い方次第では人間の尊厳を脅かすこともあり得ます。その意味で、弱いロボットが人間とテクノロジーの″潤滑油″となることが期待されるのです。