校長ブログ

新課程の高校歴史総合

2021.04.22 教科研究

4月22日

 2022年度入学生(2019年度入学の中1生)から全面実施される新学習指導要領における高校地歴では「歴史総合」と「地理総合」が必修科目(各2単位)になります。その上で、歴史や地理を発展的に学習する選択科目として「日本史探究」「世界史探究」「地理探究」(各3単位)が設定されています。

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「歴史総合」は日本史と世界史を融合した科目であり、世界の中の日本を広い視野から捉えて、現代的な諸課題の形成に関わる近現代の歴史を学習します。今回の改訂は「時間認識と空間認識をバランスよく総合する人材育成を目指す科目構成」が検討された結果、時間軸を学習の基軸とする「歴史総合」と空間軸を学習の基礎とする「地理総合」を必修科目とし、それぞれが相互補完的な役割を果たしながら、地理歴史科の目標を達成することをめざしています。

 日本学術会議は「歴史的思考力を育てる大学入試のあり方について」の中で、大学入学共通テストや個別大学の歴史系の入試科目を「歴史総合・日本史探究」「歴史総合・世界史探究」とするよう提言しています。(地理系は「地理総合・地理探究」)。提言では、科目再編の目的として「暗記重視の知識詰め込み型から思考力重視の歴史教育への移行というねらいが込められている」とあり、同時に、2006年の「『世界史』未履修問題」を取り上げ、その背景として大学入試の影響を指摘しています。提言では、歴史総合を歴史系の入試科目に組み込むことによって、高校での歴史教育と大学入試を一体的に進めることを求めています。

 これまでの日本史や世界史というと"暗記科目"と見なされてきた感がありますが、活動を中心とした「社会的事象の歴史的な見方・考え方を働かせ、課題を追究したり解決したりする活動」にすることで本物の学びを提供しようとしています。

 歴史をひもとけば、昭和の時代、"ニッポン株式会社"は、戦後の荒廃から立ち上がり、奇跡的とも言える成長を遂げ、モノつくりにおいて"ジャパン・アズ・ナンバーワン"に君臨しました。しかし、働けば裕福になるという"神話"は終焉を迎えます。

 平成は冷戦が終結し、国際秩序を主導する「Gゼロ」とも言える時代になり、バブルがはじけ、企業はその対応に追われました。バブル経済の崩壊とともに始まった平成の約30年間は、低成長であったものの、平和と安定の時代であったこともまた事実。時は流れ、デジタル時代が到来します。しかし、多くの企業は時代の潮流に乗り遅れ、経済は低迷、世界の中での存在感も低下した感は否めません。「量から質への転換」も世界はそれ以上のスピードで動いていたのです。日本が「課題先進国」と言われる所以です。

 令和の時代、日本の成長を牽引し、豊かにするグローバル戦略は、先端技術を駆使したイノベーションに向けて、チャレンジする領域・分野をどのようにインセンティブをつけて創っていくかということ。自動化できる仕事はAIに任せ、個々のアイデアを具現化し、より付加価値を高めるために、探究し、そこから何が出てくるか見極めて前に進むスピリッツを有する方が求められる人物像であり、新しい文化創造に寄与するのです。本校がめざす「未来型リーダーシップの女性育成」の原点です。