校長ブログ
学ぶ意義②ー高大接続教育との関連
2021.04.17
大学進学研究
4月17日
高3生は、大学入試が大きく変わった2年目の受験生。入試のあり方についてはまだまだ精査が加えられていくものの、求められるのは、「学力の三要素」と言われる① 知識・技能、② 思考力、判断力、表現力、③ 主体性を持って多様な人材と共同して学ぶ態度。➀と②は筆記試験で測定できますが、③についてはこれまでAO・推薦入試で評価されていたものが、一般選抜でも志望理由書や活動報告書等を作成させ、高校の調査書を活用することが推奨されていく方向性です。
ポイントとなるのが、経験から何を学んだか、さらに言うと、自分がやりたいこと、一生懸命打ち込めることを見つけ、たとえ失敗しても何を学んだのかを自分の言葉で伝えられることです。形式としては、主体性のある経験を出願時に記入させ参考にしたり、調査書や志望理由書の評価を加味したりといったことが考えられますが、HPで方針を明示している大学も多いのでチェックしておくとよいでしょう。
IQやテストなど、数字で表せる学力に対して、物事をやり抜く力や忍耐強さなど、測定できない内面の力を「非認知能力」と言います。非認知能力は、正解のない問いに対する最適解、つまり、人生をデザインし、成功体験をつくることにも直結するだけに、中高時代にどれだけその素養を身につけるかが大切です。
大学教育の変化にも注目しておきましょう。2018年の中教審答申では、学生が「何を学び、身につけることができるのか」を明確にし、学修の成果を実感できる教育を行う「学修者本位の教育の実現」を打ち出し、大学はその成果を自発的・積極的に公表することが求められています。
これまでの大学教育は、必修科目と選択科目に関してのレポート提出や試験によって取得した単位を積み上げて卒業するのがふつうでした。しかし、新しい教学マネジメント指針案では「学生自身が目標を明確に意識しつつ主体的に学修に取り組むこと、その成果を自ら適切に評価し、さらに必要な学びに踏み出していく自律的な学修者となることが求められている」と謳われています。本校でも生徒一人ひとりの夢の実現に結びつくよう、新しい大学教育のあり方、また、それに伴う入試のあり方をしっかりと研究していきたいと思います。
中央教育審議会は、「『令和の日本型学校教育』の構築を目指して」と題する教育改革案(中間まとめ)を発表しました。そこには、オンライン教育や個別最適学習といった現代的なテーマが述べられているのと同時に、「日本型学校教育」の継承・発展が言及されています。
「教育困難校」の調査など、高校教育における諸問題を研究している児美川孝一郎氏(法政大学教授)は、高校生の多くが、学ぶ意味や意義を実感しておらず、そこに強くコミットし、真剣に向き合う意識が欠けていること、また、高校に通う目的が大学進学、クラブ活動、友人関係などにあり、高校は通過点にすぎず、これが学校満足度や学習意欲の低さにつながっていることなどを指摘しています。その上で、高校が将来の社会生活に向けて、各自の強みや進みたい方向を見つけ、自立につながる場でなければならないとしています。
さらに、共有すべき課題として、市民性の育成、並びに、国語や数学などの教科内容と社会とのつながりを明確にし、総合的な探究の時間、特別活動がキャリア探究の場となるような学びの空間を創り上げることを挙げ、現状の制度運営を柔軟化させ、「やり直し」を積極的に認めることを推奨されています。
2022年から高校も新課程に入ります。本学院の教育ミッションの下、「未来型リーダーシップの女性育成」を目途とした「山手ルネサンス」の実現に向けて、取り組むべきテーマを明確にした上で、生徒一人ひとりが「何ができるようになったのか」また「どのように成長したか」を実感できる教育実践しています。