校長ブログ
必修科目『情報I』
2021.04.28
教科研究
4月28日
2022年度から適用される高校の新学習指導要領に対応させ、大学入学共通テストが再編されます。教科・科目は6教科30科目から7教科21科目にスリム化。英語民間試験の活用や記述式問題については検討中となっており、夏にも提言が出ると見られています。
そして、2025年実施の大学入学共通テストからプログラミングやデータサイエンスに関する統計処理、情報リテラシーの知識を問う「情報」が導入されます。背景にあるのは、急速に発達するIT社会で活躍できる人材の育成。当初はCBT方式を採用する方向性でしたが、さらなる検討が必要とされ、マークシート式になる見込みです。
サンプル問題を見ると、大問は3つで構成、実社会の課題に対するテーマであり、生徒の興味を引きそうなものが目立ちます。知識をみる問題は、選挙権をもつ18歳の生徒が比例代表の議席配分を算出する場面を想定、当選者数を求めるプログラムを示し、空欄部分を埋めるというもの。統計処理の問題は、サッカーワールドカップのチームの実力を得点などのオープンデータから分析するという内容です。共通テストでは思考力が重視されることから、「計算論的思考」を問う問題の出題が想定されます。計算論的思考とは、コンピュテーショナル・シンキングの訳語であり、AIと共存する社会では必要な力とされています。
現在、小中学校ではプログラミング教育が取り入れられ、高校も2022年度から「情報Ⅰ」が必修。高校では2003年から「情報科」が導入され、2つの選択必修の1つにプログラミングが含まれています。経産省によれば、IT市場が年3~9%で成長した場合、2030年には最大79万人の不足が試算されており、同時に指導者も足りないという課題も浮上します。
中央教育審議会の答申「『令和の日本型学校教育』の構築を目指して」では、個別最適・協働的・創造的で深い学びによって、一人ひとりの可能性を伸ばすことが掲げられています。その中で、デジタル技術と教育産業の力を組み合わせ、民間が担う領域を広げることによって、教育の担い手が多様化するEdTechが推奨されています。また、教科横断的な学習を通じて社会での課題発見・解決に活かすSTEAM教育の必要性も指摘されています。しかし、日本は中国やインドの教育実践には追いつけていない現状があります。コロナ禍で集中から分散へ、持続可能性などの課題が見えてきています。
大学生の就職活動を見ても、情報通信やソフトウエアに注目が集まっています。世間では脱炭素化に象徴される地球環境保護への取り組みが進められ、ガソリン車から電気自動車へシフトするなど、社会環境もドラスティックに変容しています。WITH/AFTERコロナ時代を見据え、未来を調和、融合させ、多様化することがニューノーマルへの対策となることは自明。諸君には未来の"あるべき姿"を想定し、自分自身のための人生の選択をしてほしいと思います。